アジア発祥の宗教の聖典・教典・経典

ここでは、アジアで発祥した主要な宗教の聖典・教典・経典のテキストの調べ方を紹介します。【 】内は当館請求記号、()内は関西館請求記号です。関連データベースの最終アクセス日は2015年9月25日です。

仏教

調べ方案内「大蔵経(一切経)を調べる」を参照してください。

儒教

儒教の経典は経書と総称され、『易』、『書』、『詩』、『周礼』、『儀礼』、『礼記』、『春秋』三伝、『論語』、『孝経』、『爾雅』、『孟子』の十三経がとくに重視されます。

資料の検索方法

当館の蔵書検索・申込システム国立国会図書館サーチで分類記号から経書のテキストや字句索引、経典著者の伝記、解説・研究書などを検索できます。詳細検索画面で「分類」に下記の分類記号を入力して検索してください。

経書HB23
(経書の全体に関する資料、十三経の字句索引など)
易経HB25
書経HB27
詩経HB29
礼記
(大学、中庸)
HB32
春秋HB38
論語HB41
孟子HB44
その他HB47

主なテキスト

  • 『十三經注疏 : 附校勘記』(藝文印書館 1997 【HB23-C26】)
    清の阮元が宋本の『十三経注疏』(十三経に注と疏と呼ばれる注釈を付したもの)に校勘記を付して刊行したものの翻刻です。

  • 『十三経索引』(欒貴明, 田奕主編 中国社会科学出版社 2004 【HB23-C33】)
    十三経の本文と四角号碼順の逐字索引を収録しています。

日本語訳

  • 『新釈漢文大系』(明治書院 1960-)
    『論語』、『孟子』など主要な経書を含む中国の重要な古典を収録しています。上段に原文テキスト、下段に訓読文(読み下し)を載せ、通釈・語釈(現代語訳と解説)を付しています。

関連データベース

道教

道教の経典を集成したものを「道蔵」といい、「正統道蔵」、「中華道蔵」など複数種類が存在します。

資料の検索方法

各道蔵の収録巻を調べるには以下の目録・索引を参照してください。

  • 『道藏子目引得 ; 佛藏子目引得』(洪業[等]編 上海古籍出版社 1986 【HR132-C15】)
    本書のうち、『道藏子目引得』は、「道蔵」と「道蔵輯要」、「道蔵闕経目録」の索引です。「分類」、「経名」、「撰人」、「史伝」から検索することができます。
  • 『正統道藏目録索引』(李殿魁改編 芸文印書館 1977 【HR132-C27】)
    明の正統年間に編さんされた「正統道蔵」の目録と索引です。
  • 『道藏索引 : 五種版本道藏通檢』((法) 施舟人原编 ; 陈耀庭改编 上海书店出版社 1996 【HR132-C47】)
    上海書店・文物出版社・天津古籍出版社が影印を共同出版した三家本『道蔵』(【HR132-C47】)の索引です。巻末の「五種版本道藏通檢」で、道蔵に収録された経典を検索できます。
  • 『藏外道書』(胡道静[ほか]主編 ; 《藏外道書》編委會編 巴蜀書社 1992-1994 【HR132-C48】)
    「正統道蔵」、「万暦続蔵」収録外の道教経典を収録しています。第36巻が索引です。
  • 『中華道藏』(張繼禹主编 華夏出版社 2004 【HR132-C55】)
    21世紀に新たに編さんされた「道蔵」です。第49巻が索引です。
  • "Title index to Daoist collections"(Louis Komjathy Three Pines Press 2002 【HR132-B3】)
    「正統道蔵」、「道蔵輯要」、「蔵外道書」などの道教文献集成の索引です。漢字のほかに、ピンインでも検索することができます。

関連データベース

  • 中央研究院 漢籍電子文獻外部サイト
    台湾の中央研究院が運営するテキストデータベースです。「正統道蔵」の一部を検索できます。

  • 道藏綜合目錄・大正新修大藏經目錄檢索外部サイト
    京都大学人文科学研究所・麥谷邦夫氏のホームページ「東洋學研究者のための電腦四寶 道氣社」が提供するデータベース。「正統道蔵」、「万暦続蔵」、「道蔵輯要」、「道蔵闕経目録」、「蔵外道書」、「中華道蔵」に所収の経典を検索できます。「漢籍テキスト検索」では真誥・雲笈七籤などが全文検索可能できます。

ヒンドゥー教

特定の開祖をもたないヒンドゥー教では多数の聖典がありますが、仏教の「大蔵経」、道教の「道蔵」にあたる聖典の集大成は存在しません。その中では、ヒンドゥー教の源流である古代のバラモン教の聖典『ヴェーダ』が比較的高い地位を占めるとされます。
調べ方案内「インドの聖典・叙事詩」も参照してください。

資料の検索方法

ヴェーダは、当館の蔵書検索・申込システム国立国会図書館サーチで分類記号からテキスト、解説・研究書などを検索できます。詳細検索画面で「分類」に分類記号「HB153」を入力して検索してください。

日本語訳

シーク教

シーク教では、パンジャーブ語で記された『グラント・サーヒブ』を聖典としています。

主なテキスト

  • "Śrī Guru Granth Sāhib : with complete index"(Winand M. Callewaert Motilal Banarsidass Publishers 1996 【Y757-C1】)
    グラント・サーヒブのパンジャーブ語テキストです。表記はデーヴァナーガリー文字です。

英語訳

  • "Sri Guru Granth Sahib in English translation"(Gurbachan Singh Talib Publication Bureau, Punjabi University 1984- 【HR141-A12】)
    グラント・サーヒブの英訳です。アジア情報室では、第1巻から第3巻は第2版(【(HR141-P89 )】)を所蔵しています。

関連データベース

  • Sri Granth外部サイト
    インドの有志によって運営されているデータベースです。グラント・サーヒブのパンジャーブ語テキスト(グルムキー文字、デーヴァナーガリー文字、ローマ字翻字)と英訳を閲覧できます。

ゾロアスター教

ゾロアスター教では、アヴェスター語で記された『アヴェスター』を聖典としています。

日本語訳

  • 『世界古典文学全集. 第3巻 (ヴェーダ,アヴェスター)』(筑摩書房 1967 【908-Se12294】)
    「アヴェスター」(伊藤義教訳)を収録しています。この資料はデジタル化されており、当館の館内でデジタルデータを閲覧できます。なお、本書は1981年に復刻(【KE211-50】)、2012年にアヴェスターの部分のみの文庫版(【HR151-J8】)が出版されています。

関連データベース

  • Avesta - Zoroastrian Archives外部サイト
    古代宗教研究者Joseph H. Peterson氏のホームページです。アヴェスターのアヴェスター語、英語、ドイツ語のテキストが閲覧できます。
  • Avestan Digital Archive外部サイト
    サラマンカ大学を中心とするプロジェクトのホームページです。アヴェスターの現存写本のデジタル画像が閲覧できます。

ユダヤ教

ユダヤ教では、ヘブライ語の『聖書(タナハ)』を聖典としています。また、聖書に含まれる律法と別に口伝された律法『ミシュナ』も重視され、その注釈を集大成した『タルムード』が聖典に準じる位置づけを与えられています。

資料の検索方法

ミシュナやタルムードは、当館の蔵書検索・申込システム国立国会図書館サーチで分類記号からテキスト、解説・研究書などを検索できます。詳細検索画面で「分類」に分類記号「HR13」を入力して検索してください。

日本語訳

  • 『ヘブライ語聖書対訳シリーズ』(ミルトス)
    ヘブライ語聖書の原文と日本語への逐語訳を収録しています。
    ユダヤ教の『聖書(タナハ)』は、キリスト教で『旧約聖書』とされるものと同一内容です。次の「キリスト教」の項も参照してください。

関連データベース

  • Mechon Mamre外部サイト
    イスラエルの有志によって運営されているデータベースです。聖書とミシュナのヘブライ語と英語のテキストが閲覧できます。

キリスト教

資料の検索方法

キリスト教の『聖書』に関する資料は多く、合理的な検索は困難です。当館における聖書の各国語版の所蔵については以下の目録が利用できます。

関連データベース

イスラム教

イスラム教では、聖典の中でもアラビア語で記された『コーラン(クルアーン)』を啓示として重んじます。

資料の検索方法

当館の蔵書検索・申込システム国立国会図書館サーチの検索に使用できる分類記号「HR44」は、コーランのほかに、イスラム法の法源として重んじられるハディース(預言者ムハンマドの言行録)のテキストや解説・研究書も含みます。コーランのみを調べる場合は以下の資料を参照してください。

主なテキスト

当館ではアラビア語のコーラン関係書籍は注釈書を中心に収集しており、現代のイスラム教徒が日常的に参照するために用いる版はほとんど所蔵していません。ただし、少数ですが日本国内で出版されたアラビア語のコーランを所蔵しています。

  • "كلام شريف"(東京回教印刷所 1934.5 【196-139】)
    昭和初期に日本在住のイスラム教徒によって出版された日本で最初のアラビア語コーラン印刷本です。この資料はデジタル化されており、当館の館内でデジタルデータを閲覧できます。
    なお、次の「日本語訳」の項に掲げる対訳にもアラビア語の原文が収録されています。

日本語訳

コーランは、明治時代以降多くの日本語訳が出版されてきました。当館で利用できる主なアラビア語原典からの日本語訳には以下の物があります。

  • 『井筒俊彦著作集. 7 (コーラン).』(中央公論社 1992 【H21-E54】)
  • 『日亜対訳クルアーン』(中田考 監修 ; 中田香織, 下村佳州紀 訳 ; 黎明イスラーム学術・文化振興会 責任編集 作品社 2014 【HR44-L5】)
    アラビア語原文と日本語の対訳です。正統十読誦の異伝全の訳が付されています。パイロット版である『訳解クルアーン』【HR44-J8】から本文見直し作業を経て刊行されました。
  • 『聖クルアーン : 日本語訳』(澤田達一 訳 啓示翻訳文化研究所 2013 【HR44-L6】)
    日本では初めてのシーア派の解釈に基づくコーランの全訳です。
  • 『コーラン』(藤本勝次, 伴康哉, 池田修 訳 中央公論新社 2002 【HR44-G4】)
    1 2
  • 『聖クルアーン』(モハマッド・オウェース・小林淳 訳 イスラム・インターナショナル・パブリケーションズ 1988 【HR44-G2】)
    アラビア語原文と日本語の対訳です。
  • 『聖クルアーン : 日亜対訳・注解』(三田了一 訳 日本ムスリム協会 1982 【HR44-J2】)
    アラビア語原文と日本語の対訳です。