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満州国・満鉄に関する資料

「満州」とは、中国東北部の旧称です(当時の表記は「満洲」)。日本は、1932年に清朝最後の皇帝溥儀を元首として同地に「満州国」(当時の表記は「満洲国」)を建国させ、1945年までその影響下に置きました。また、これ以前から南満州鉄道株式会社(1906年設立。以下、「満鉄」)が日本の満州経営の中核を担っていました。
満州国や満鉄の各機関が作成、刊行、または所蔵していた資料、および満州国内で発行された資料(以下、「満州関係資料」)は、歴史的価値の高い資料ですが、第二次世界大戦後、一部は日本や米国に移され、また一部は東北部を中心とする中国国内に残されるなど、各地に散在しています。
ここでは、日本および中国を中心に、満州関係資料を所蔵する機関の目録や、インターネット上で閲覧可能なデジタルアーカイブなどを紹介します。なお、企業としての満鉄の社史や社員名簿や当時の満鉄の路線図や時刻表、写真などの調べ方については、南満州鉄道(満鉄)について調べるをご参照ください。
※【 】内は当館請求記号です。

1. 国立国会図書館の所蔵資料

国立国会図書館が所蔵する満州関係資料の大部分は、通常の図書、雑誌または新聞として整理されています。このうち、満鉄資料および関連資料は約45,500点です(白岩一彦「国立国会図書館における満鉄資料の所蔵状況」(『日米中における満鉄関係資料等の利用と保存をめぐる諸問題 : 国際ワークショップ報告書』 日本貿易振興機構アジア経済研究所, 2009, pp.91-140)による)。ここでは、それらの資料の検索ツールや主な資料群などを紹介します。

1-1. オンライン目録・デジタルアーカイブ

  • 国立国会図書館サーチ
    詳細検索画面で「件名」に「満州」と入力すると、満州関係の事項を主題とする日本語資料を検索できます。また、詳細検索で「著者・編者」や「出版者」に満州国や満鉄の機関名を入力することで、特定機関の刊行物を検索できます。満州関係資料の多くは東京本館所蔵ですが、中国で刊行された復刻版(後述)など一部の資料は関西館で所蔵しています。

  • 国立国会図書館デジタルコレクション
    当館所蔵資料のうちデジタル化した資料などを検索、閲覧できます。著作権処理が終了した資料は本文画像をインターネット公開しています。国立国会図書館サーチ同様、詳細検索画面で「件名」を指定して検索することも可能です。

1-2. 主な資料群

- 憲政資料室所蔵の憲政資料

東京本館憲政資料室では、政治家等の旧蔵資料を所蔵しており、その中には満州関係資料も含まれます。具体的な資料群については、堀内寛雄「憲政資料中の戦前期朝鮮・台湾・中国東北部関係資料」(『参考書誌研究』69号, 2008.10, pp.1-24)の「3 中国東北部関係」をご参照ください。検索の際は、旧蔵者ごとに個別に作成された目録を用います。

- 関西館アジア情報室所蔵の復刻版資料集

関西館アジア情報室では、中国で刊行された復刻版資料集を所蔵しています。一例として、次の資料があります。

  • 黒龍江省档案館・遼寧省档案館編 『滿鐵調查報告』(廣西師範大學出版社, 2005- 【DK55-C21】)
    満鉄の調査部が刊行した調査報告の復刻版です。2024年現在、8輯、198冊が刊行されています。

  • 『偽滿洲國期刊匯編』(綫裝書局, 2008-2010 【Z23-AC81 ほか】)
    153冊。満州国期に刊行された雑誌や新聞32タイトルの復刻版です。

  • 遼寧省档案館編 『満鉄密档』(廣西師範大学出版社,1999-2004 【DK55-C13 ほか】)
    83冊。「満鐡與侵華日軍」など4つの主題に関連する満鉄文書の復刻版です。

  • 『偽滿洲國統計資料匯編』(线装书局, 2009 【DT191-M13-C1】)
    36冊。満州国期の奉天市の統計月報など、統計関係の刊行物の復刻版です。

  • 吉林省图书馆伪满洲国史料编委会编『伪满洲国史料』(全国图书馆文献缩微复制中心, 2002【GE357-C249】)
    33冊。吉林省図書館所蔵の満州国期の資料等の復刻版です。

  • 解学诗, 宋玉印主编『满铁内密文书』(社会科学文献出版社, 2015【DK55-C72】)
    30冊。満鉄文書の影印版を、内容により分類し、収録しています。

  • 『满铁档案资料汇编』(社会科学文献出版社, 2011【DK55-C52】)
    15冊。満鉄文書を中国語訳し、内容により分類のうえ、収録しています。

1-3. 関連コンテンツ・参考資料

2. 日本国内機関の所蔵資料

2-1. オンライン目録・デジタルアーカイブ

  • 近現代アジアのなかの日本外部サイト(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
    満鉄関連資料等、アジア経済研究所図書館が所蔵する旧植民地関係資料のうち、約4,000点のデジタル画像の閲覧が可能です。

2-2. 冊子目録

  • 井村哲郎「「満洲国」関係資料解題」(『「満洲国」の研究』 緑蔭書房, 1995 【GE357-E78】pp.535-580)
    満州関係資料を対象とした、日米の総合目録、大学等各機関の単館目録、および特定主題に関する総合目録が多数紹介されています。

  • 植民地文化研究会編 『《満洲国》文化細目』(不二出版, 2005【GE2-H6】)
    満州国で出版・刊行された文学書など573点の書誌情報、所蔵機関(中国など国外の機関の情報も含まれます)、目次情報などを収録しています。

  • 『旧植民地関係機関刊行物総合目録』(アジア経済研究所, 1973-1981 【UP11-18】)
    日本の旧植民地の政府機関等の刊行物を対象とした日米計50機関の総合目録です。満州関係資料については、満鉄刊行資料約1万点を収録した「南満州鉄道株式会社編」、満州国・関東庁などの出版物約2,000点を収録した「満州国・関東州編」、およびその索引「満州国・関東州・南満州鉄道株式会社. 索引編」があります。

  • 『旧日本植民地および「満洲」関係統計資料目録 : 一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター所蔵』(一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター, 2001【D1-G154】)
    平成13年(2001年)1月末現在同センター所蔵の、日本の旧植民地(植民地ではなかった「外地」扱いの地域も含む)および満洲に関する統計関係資料を収録した目録です。後身の社会科学統計情報研究センターウェブサイト内では、同目録をPDF(25.3MB)外部サイトで公開しています。

  • 南部町祐生出会いの館編集『満州国資料図録. 1』(南部町祐生出会いの館, 2024【GE357-R2】)
    板祐生(版画家・収集家)が収集した満洲関連資料のうち、ポスター178点、布告28点、チラシ89点、標語155点の画像を収録しています。

3. 海外機関の所蔵資料

3-1. オンライン目録・デジタルアーカイブ

  • 馆藏满铁资料书目数据库外部サイト(大連図書館)
    大連図書館所蔵の満鉄関係資料の目録です。約12万点の書誌情報を閲覧できます。

  • 联合目录公共检索系统外部サイト(中国高等教育文献保障系統(CALIS))
    中国の大学図書館など約1,200機関が参加するコンソーシアムが運営する総合目録です。

  • 革命文献与民国时期文献联合目录外部サイト(中国国家図書館)
    中華民国期の文献について、公立図書館など31機関の所蔵情報、70万件以上のデータを収録しています(2019年末時点)。一部の資料については本文画像を閲覧できます。

  • 大学数字图书馆国际合作计划(CADAL)外部サイト
    中国や米国の図書館など120以上の機関が参加するデジタル化資料共有プロジェクトです。満鉄関係資料約18,000点が収録されています(2025年1月時点)。資料本文の閲覧には事前登録が必要ですが、検索は可能です。

  • 일본연구 아카이브(日本研究アーカイブ)外部サイト(고려대학교 글로벌일본연구원(高麗大学校グローバル日本研究院))
    日帝強占期資料Archive(日本占領期資料Archive)に「満洲刊行日本語文献」「満洲刊行日本伝統詩歌」が収録されています。ユーザ登録(無料、日本国内からも可)をすると、詳細な書誌事項や日中韓の所蔵機関を見られます。

3-2. 冊子目録