業界動向の調べ方
業界動向を調べるための情報源としては、統計、名簿、調査・レポート、専門雑誌・専門新聞、インターネット情報源などがあります。業界動向には、生産量、販売額、従業員数などの統計のほか、市場規模、業界展望、製品価格、マーケットシェア、ランキング、業界名簿などの情報が含まれます。ここでは、業界動向が掲載されている情報源を紹介するほか、それらの情報源をタイトルおよび団体名などから検索する方法を紹介します。
【 】内は当館請求記号です。請求記号が記載されていないものは、版によって請求記号が異なります。国立国会図書館オンラインでタイトルを入力して検索してください。
なお、ここではおもに国内の業界動向を調べるための情報源を紹介しますが、海外の業界動向は海外の業界動向の調べ方をご覧ください。
目次
1. 業界全般を調べる
産業全般にわたって業界動向を調べるための情報源には、以下のようなものがあります。それぞれの情報源に掲載されている出典統計や参考文献、業界団体名などをキーワードに、国立国会図書館オンラインやインターネット情報を検索することによって、さらに調査を広げることができます。
- 『業種別審査事典』(金融財政事情研究会 不定期刊)
1,000以上の業種について、業界動向、市場規模、海外展開、需給状況、関連法規などを分析しています。統計や図表類も掲載されています。取り扱う業種の多さや細かさに優れています。与信審査の参考資料として編集されており、業界情報を調べる際に特に有用な資料です。(目次例: 2016 第1巻、2016 第2巻、2016 第3巻、2016 第4巻、2016 第5巻、2016 第6巻、2016 第7巻、2016 第8巻、2016 第9巻、2016 第10巻)
- 『TDB report』
(帝国データバンク 隔月刊 【Z4-B1】)
毎年、2月号と8月号が「TDB業界動向」として刊行され、約100の業界について動向が掲載されています。国内の主要産業ごとに、業界全体の動向と今後の見通し、主要企業の動向、最近1年の出来事などを、各種統計とともに解説しています。また、業界天気図、最近半年間のおもな企業合併・商号変更・上場一覧が掲載されている分野もあります。(目次)
- 『業種別業界情報』
(経営情報出版社 年刊 【Z41-5015】)
300以上の業種について、そのあらましと現状、業界の仕組みと特性、経営の動向と問題点、業界の悩みと今後の方向などをまとめています。(目次)
- 『全国企業あれこれランキング』(帝国データバンク 年刊)
売上高や純利益などについて、全国ランキング、都道府県別ランキング、業種別ランキングが掲載されています。また、各種の財務指標に関するランキングも掲載されています。(目次例: 2021年版)
- 『日経MJトレンド情報源』(日本経済新聞出版社 年刊)
小売業、専門店、卸売業、飲食業、コンビニエンスストア、サービス業、百貨店に関する調査の結果が掲載されています。それぞれの業種について、売上高による企業ランキングなどが掲載されています。(目次例: 2018)
- 『テクノロジー・ロードマップ 全産業編』(日経BP 年刊)
人工知能(AI)、自動車、エネルギー、医療、農業・食品工業など全産業分野を対象とし、テーマごとに今後10年の市場の流れを予測しています。(目次例: 2020-2029 全産業編 1、2020-2029 全産業編 2)
- 『メガトレンド 全産業編』(日経BP 不定期刊)
テーマごとに今後10年の市場の流れを予測しています。分野別の「未来年表」、市場規模関連情報などが掲載されています。(目次例: 2019-2028 全産業編 1、2019-2028 全産業編 2、2019-2028 全産業編 3、2019-2028 全産業編 4)
- 『消費トレンド総覧2030』
(日経BP社 2019 【DH413-M10】)
2030年における14の新消費市場を定義し、その事業機会や同市場で活躍する企業の条件を予測しています。(目次)
- 『未来市場2018-2027』
(日経BP社 2017 【YU7-M221】)
人工知能、自動運転、フィンテックなどの分野について、今後10年間の市場規模を予測しています。(目次)
- 経済レポート情報
(ナレッジジャングル)
「産業総合」のページに、各種産業の動向に関するレポートが掲載されています。
「業界地図」は、業界の全般について簡略にまとめています。図版やグラフを多用して、見やすく編集してあります。代表的なタイトルには、以下のようなものがあります。
また、金融機関のホームページにも、それぞれの機関が公表する調査・レポートが掲載されています。ここでは、いくつかの銀行を例として紹介します。
- 産業情報
(みずほ銀行)
「みずほ産業調査」内の「日本産業の中期見通し」は毎年刊行され、エネルギーや不動産から介護まで、幅広い分析がされています。
- 経済・業界動向に関するレポート
(三井住友銀行)
- 経済・産業レポートとマーケット情報
(三菱UFJ銀行)
このほか、新聞や雑誌の記事にも、時事的な業界動向やその分析が掲載されます。『日本経済新聞』、『朝日新聞』などの全国紙以外にも各地方紙や、『九州経済白書』のような地方ごとの経済誌、業界ごとの専門雑誌、専門新聞があり、それぞれ特色ある構成になっています。
2. 個別の産業を調べる
個別の産業の業界動向について調べるための情報源には、以下のようなものがあります。それぞれの情報源に掲載されている出典統計や参考文献、業界団体名などをキーワードに、国立国会図書館オンラインやインターネット情報源を検索することによって、さらに調査を広げることができます。
- リサーチ・ナビ「産業情報ガイド」
各産業について、統計資料、名鑑類、調査レポート類、専門雑誌、専門新聞、インターネット情報などを紹介しています。主に国内の産業を取り扱い、最新の動向、情報が掲載された情報源を中心に紹介しています。 掲載されているタイトルや統計名、調査名、団体名、調査機関名、出版社名から再検索をすることにより、さらに調査を広げることができます。たとえば、国立国会図書館オンライン
を調査・レポートの調査機関名で検索することで、その機関が発行する類似の統計や過去の調査・レポートなどが見つかることがあります。
- リサーチ・ナビ「統計」
業界動向を調べるには生産量、販売額などの統計が有用です。ここでは、主に総合統計から業界情報を含む個別の統計を探しだす方法を紹介しています。海外や地方に関する統計、人口に関する統計の調べ方も紹介しています。
- レファレンス協同データベース
国立国会図書館のほか、全国の公共図書館、大学図書館、専門図書館に寄せられた質問とその回答事例を検索できます。類似の事例で紹介された統計や調査・レポート、インターネット情報源を参考に、別の年代や業種、製品などに調査を広げることができます。製品名や業界名、「市場」、「業界動向」、「統計」など、キーワードを工夫して検索してください。
- ディープライブラリー
(ディープ・ライブラリー・プロジェクト)
専門図書館の所蔵資料を横断検索することができます。公共図書館や大学図書館に所蔵の無い資料が見つかる場合があります。
- 『雑誌新聞総かたろぐ』(メディア・リサーチ・センター 年刊)
国内で刊行される雑誌、新聞の名鑑です。業界動向を扱った雑誌や新聞も多く掲載されています。「内容」や「読者」の項目を見ることで、統計や名簿、製品情報などの業界動向が掲載されている雑誌・新聞を見つけることができます。1集(1979年版)から刊行されており、過去のタイトルをさかのぼって探すことができます。2019年版をもって休刊となりました。
- 『専門新聞要覧』(日本専門新聞協会 年刊)
国内で刊行される専門新聞の要覧です。業界団体が刊行する新聞も多く含まれます。新聞には時事的な業界動向が掲載されており、業界情報を調べる際には有用です。昭和32(1957)年に創刊され、昭和57年版以前のタイトルは『日本専門新聞協会要覧』です。当館でのまとまった所蔵は、おおむね昭和50年以降です。
- 『全国各種団体名鑑』(原書房 隔年刊)
国内の約60,000団体の概要とその刊行物が掲載されています。経済・産業分野の団体も多く掲載されており、業界雑誌・新聞、その他の刊行物がわかります。昭和40(1965)年に創刊され、過去の団体についても調べられます。
3. 国立国会図書館での所蔵を探す
産業や製品に関するキーワード、業界団体名などで検索することができます。1. 業界全般を調べる、2. 個別の産業を調べるで紹介した情報源に出典として掲載されている統計や参考文献、業界団体名などのキーワードを用いて検索することができます。
- 国立国会図書館オンライン
国立国会図書館の蔵書を検索できます。図書や雑誌は、業界名のような幅の広いキーワードで検索するほうが有効な結果を得やすいです。雑誌記事は、製品名などのより細かいキーワードでも検索できることがあります。検索結果で得られた書誌に付与されている著者や件名から再検索をすると類書が見つかります。「統計」、「調査」、「報告」といったキーワードを追加して絞り込むこともできます。
- 目次データベース
国立国会図書館オンライン
に収録されていない目次情報を検索することができます。より細かいキーワードでの検索が可能です。経済・産業分野については、統計、名鑑、調査・レポートなどの刊行物から選定して、その目次を収録しています。検索結果で得られたタイトルや編者、出版者から国立国会図書館オンライン
などを再検索すると、別の巻号、年月次、版次の資料が見つかることがあります。
- 国立国会図書館デジタルコレクション
国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧することができます。タイトル、著者、出版者、目次などから検索でき、一部の電子媒体で収集した資料については、本文に含まれる単語などから検索できます。統計や過去の業界誌など業界動向を調べるための資料も多く含まれます。特に、過去のデータを検索する際には有用です。掲載範囲については「国立国会図書館デジタルコレクションについて
」を確認してください。
- 国立国会図書館サーチ
国立国会図書館をはじめ、全国の公共図書館、公文書館、美術館や学術研究機関などが提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できます。検索対象については、「検索対象データベース一覧
」を確認してください。