有価証券報告書の調べ方
ここでは、有価証券報告書(有報)を閲覧する方法を紹介します。
有価証券報告書とは、金融商品取引法にもとづき、有価証券の発行企業が自社の情報を外部に開示するために作成する報告書を指します。一定の条件を満たした企業は有価証券報告書の提出が義務付けられています。提出義務者などの詳細は関東財務局ホームページ内の「企業内容等開示」のページに掲載されています。
有価証券報告書には、企業の概況(企業の沿革、事業内容など)、事業の概況、設備の状況、提出会社の状況(株式の総数、株価の推移など)、経理の状況などが掲載されています。
直近10年間の有価証券報告書は、インターネット上のEDINETで検索・閲覧することができます。
それ以前の有価証券報告書・営業報告書は、国立国会図書館内で契約データベースのeol・企業史料統合データべース
を用いて検索・閲覧することができます。
データベースに見当たらない場合は、館内の端末から国立国会図書館オンラインで『有価証券報告書総覧』の閲覧申込を行ってください。年代・上場区分により冊子体とマイクロに分かれています。
目次
1. インターネット情報源で調べる
- EDINET
金融庁が行政サービスの一環として提供しているシステムです。最近10年以内に提出された有価証券報告書を閲覧できます。
- eol
(当館契約データベース:館内限定)
昭和36(1961)年以降の有価証券報告書などを、館内端末から検索、閲覧できます。
- 企業史料統合データベース
(当館契約データベース:館内限定)
明治10(1877)年頃から昭和60(1985)年頃までの東証一部・二部上場企業を中心とした営業報告書や有価証券報告書などを、館内端末から検索、閲覧できます。
2. 国立国会図書館の所蔵を調べる
2-1. 有価証券報告書総覧
有価証券報告書総覧とは、企業が提出した有価証券報告書を縮小印刷した資料です。
国立国会図書館では、有価証券報告書そのものではなく、有価証券報告書総覧を所蔵しています。ただし、有価証券報告書を提出している企業すべてが有価証券報告書総覧に収録されているわけではありません。未上場の企業や一部の新興市場上場企業などは収録されていないのでご注意ください。
国立国会図書館が所蔵する有価証券報告書総覧は、冊子体とマイクロフィルム(以下、マイクロ)で書庫に所蔵し、年代や上場区分によって提供媒体は異なります。東京・大阪・名古屋証券取引所第1部および第2部上場会社のうち、平成12(2000)年以前の有価証券報告書総覧を閲覧する場合はマイクロをご利用ください。それ以外の資料を閲覧する場合は冊子体をご利用ください。
閲覧するには、必要事項を調べた上で、国立国会図書館オンラインで申し込んでください。調べたい有価証券報告書が冊子体かマイクロかによって調べ方が異なります。
請求方法が分からない場合は、科学技術・経済情報室カウンターにご相談ください。
(1)冊子体
東京証券取引所の市場区分再編が行われた令和4(2022)年4月より前か後かによって調べ方が異なります。
(令和4(2022)年4月以降の調べ方)
「Yahoo!ファイナンス」等の株価検索サービスを使って、調べたい企業の「証券コード(4桁の数字または英数字)」を調べます。「証券コード」が分かったら、下の表を参考に請求記号を特定します。
(例えば、株式会社伊藤園の証券コードは「2593」なので、請求記号は「Z72-W281」です。)
証券コード | 請求記号 |
---|---|
1000番台 | Z72-W280![]() |
2000番台 | Z72-W281![]() |
3000番台 | Z72-W282![]() |
4000番台 | Z72-W283![]() |
5000番台 | Z72-W284![]() |
6000番台 | Z72-W285![]() |
7000番台 | Z72-W286![]() |
8000番台 | Z72-W287![]() |
9000番台 | Z72-W288![]() |
請求記号が分かったら、国立国会図書館オンラインを検索します。
国立国会図書館オンラインでは、「巻」に「証券コード」の情報を入力しています。検索結果の「所蔵詳細」画面において、「証券コード」で「巻」を絞り込み、該当年を確認して閲覧を申し込んでください。
(令和4(2022)年3月までの調べ方)
以下の資料から、調べたい企業の「会社番号」を特定します。『有価証券報告書総覧.会社名一覧』は、科学技術・経済情報室に開架しています。
- 『有価証券報告書総覧.会社名一覧』
【Z72-E374】
平成2年(1990)年版以降 - 『有価証券報告書提出会社名簿』
昭和50(1975)年版から昭和60(1985)年版まで 【D4-265】
昭和61(1986)年版から平成15(2003)年版まで(以後廃刊) 【Z41-4857】
「会社番号」は、「上場区分」-「上場部門」-「数字」の3つの数字で構成されています。1部上場の場合には、上場区分の「1」が省略されて、「上場部門」-「数字」の2つの数字のみが掲載されている場合があります。2部以下の上場区分が省略されることはありません。
例: 平成22年 上場区分2部 雪国まいたけ 2-1-1
例: 平成22年 上場区分1部 極洋 1-1 (1-1-1の省略)
「上場区分」、「上場部門」を用いて請求記号を特定し、国立国会図書館オンラインを検索します。「上場区分」ごとの請求記号は以下のとおりです。○に「上場部門」の番号が入ります。
- 上場区分1 東京・大阪・名古屋証券取引所第1部 【Z3-785-○】
- 上場区分2 東京・大阪・名古屋証券取引所第2部 【Z3-973-○】
- 上場区分3 地方の証券取引所上場会社(札幌、新潟、京都、広島、福岡各証券取引所上場会社) 【Z3-1346-○】
- 上場区分4 上場外国会社 【Z3-2734-○】
- 上場区分5 店頭登録会社、JASDAQ上場会社 【Z3-3735-○】
検索結果の「所蔵詳細」画面において、「会社番号」末尾の「数字」で「巻」を絞り込みます。該当年を確認して閲覧を申し込んでください。
(2)マイクロ
科学技術・経済情報室にある『有証マイクロ会社名目録』で、調べたい企業の「リール番号」を特定します。 国立国会図書館オンラインを請求記号で検索し、「リール番号」で「巻」を絞り込み、該当年と上場区分を確認して閲覧を申し込んでください。請求記号は以下のとおりです。
- 東京証券取引所
昭和24(1949)年から昭和44(1969)年まで 【YA-99】
昭和45(1970)年から平成13(2001)年まで 【YA1-1024】
- 大阪取引所
昭和25(1950)年から昭和44(1969)年まで 【YA-948】
昭和45(1970)年から平成13(2001)年まで 【YA1-1025】
- 名古屋証券取引所
昭和35(1960)年から昭和44(1969)年まで 【YA-949】
昭和45(1970)年から平成13(2001)年まで 【YA1-1026】
2-2. 営業報告書集成
営業報告書集成とは、明治40(1907)年から昭和32(1957)年までの営業報告書を収録したマイクロです。旧商法時代(明治時代から昭和25年度まで)の「営業報告書」は、現在の有価証券報告書に相当する資料です。
- 『営業報告書集成』
(雄松堂アーカイブズ 1966-2008 【YA-100】)
『営業報告書集成』に収録されている営業報告書は全て、企業史料統合データベースで見ることができるので、データベースをご利用ください。
マイクロでの閲覧を希望する場合は、科学技術・経済情報室で、以下の資料から、調べたい企業の「リール番号」を特定します。 国立国会図書館オンラインを請求記号【YA-100】で検索し、「リール番号」で「巻」を絞り込んで閲覧申込をしてください。
- 『マイクロフィルム版営業報告書集成総目録』
(雄松堂出版フィルム出版事業部 1996 【D1-G57】)
3. 他機関での閲覧
有価証券報告書は、提出後5年の間、公衆の縦覧に供されることが金融商品取引法で定められています。国立国会図書館以外では以下の機関で有価証券報告書の閲覧が可能です。所蔵情報や利用方法などは各機関に直接ご確認ください。
- 財務省財務局
過去5年分の有価証券報告書などを見ることができます。詳細は、各財務局のホームページ内の「企業内容等開示」のページに掲載されています。
- 日本取引所グループ
東証Arrowsインフォメーション・テラスと大阪取引所で、過去5年分の有価証券報告書などを見ることができます。詳細は見学のページに掲載されています。