水路書誌

このページでは当館が所蔵する日本の水路書誌について紹介します。【 】内は当館請求記号です。

海上保安庁海洋情報部(旧水路部)が刊行する水路図誌のうち、海図を除いた参考資料群を総称して水路書誌といいます。水路書誌には①水路誌と②特殊書誌があります。
水路書誌に関する概念図

①水路誌
水路誌はいわば航海の案内書・手引書です。海図と併用することで、航海の安全に役立てる目的で作られています。航海を行う予定の海域に関する様々な情報(気象、海象、航路状況、沿岸地形、港湾に関する情報等)が掲載されています。
②特殊書誌
特殊書誌は、使用目的に特化した形で編纂された各種の参考資料です。水路誌と同様に海図と併用することで航海の安全に寄与するもの、海図と関わりなく単独で用いるもの、航海に直接的に使用するわけではないが海事関係者の参考となるものなど、内容は多種多様です。具体的には、標準的な航路を示した「航路誌」、航路標識を記した「灯台表」、潮汐・潮流に関する情報を提供する「潮汐表」、天体位置等を記した「天測暦」といったものがあります。また、水路図誌全般にわたる目録「水路図誌目録」も特殊書誌に含まれます。

なお、海図については、「海図」のページをご覧ください。

1. 国立国会図書館の所蔵

1-1. 原資料

明治時代から最新のものまで幅広く所蔵しています。ただし、網羅的ではありません。
最初期のものには、明治初期に北海道各地の水路や風土事情を調査した柳楢悦海軍少佐により記された『春日記行』(当館未所蔵)の水路に関する記述をもとに編集された我が国初の水路誌『北海道水路誌』や、台湾との国際的緊張が高まるなかで台湾出兵に先立ち刊行された『臺灣水路誌』(イギリス製からの抄訳)など、貴重なものも含まれています。
資料形態、刊行時期等により、図書資料または地図資料(戦前の一部のもの)として整理されています。請求記号は「水-○」、「558.7-○」、「NC87-○」など様々です。

1-2. デジタル化資料

上記 1-1 の資料のうち、デジタル化したものがあります。国立国会図書館デジタルコレクションで利用できます。

2. 資料の利用方法

2-1. 国立国会図書館サーチでの検索

『水路図誌目録』で「書誌名」を調べた上、国立国会図書館サーチで、検索対象を「国立国会図書館」のみ選択し、「キーワード」欄に入力して検索してください。
デジタル化済みの資料には、国立国会図書館デジタルコレクションへのリンクが貼られています。

2-2. 国立国会図書館デジタルコレクションでの検索

詳細検索画面で資料群「図書」と「地図」にチェックを入れ、『水路図誌目録』で調べた「書誌名」を「タイトル」欄に入れて検索してください。

資料種別「書誌名」例
水路誌日本水路誌、寰瀛水路誌、本洲沿岸水路誌、内海水路誌、支那海水路誌、朝鮮水路誌、臺灣水路誌、揚子江水路誌、スマトラ東部水路誌、瓜哇海水路誌、菲律賓諸島水路誌 など
特殊書誌灯台表灯台表、日本灯台表、東洋燈台表
潮汐表潮汐表
天測暦天測暦、天測略暦、天測計算表
航海年表航海年表、海軍航海年表
水路図誌目録水路図誌目録、刊行水路圖誌目録、普通水路図誌目録
その他水路告示集、水路誌附録、水路雑爼 など

※上記は一例です。詳しくは『水路図誌目録』をご参照ください。

3. 参考資料

  • 『水路部八十年の歴史』(水路部創設八十周年記念事業後援会 1952 【558.7-Su769】)(地図室開架)
    *第4章「水路図誌調製作業の変遷」(pp.178-243)
  • 沓名景義, 坂戸直輝著 『海図の知識』(成山堂書店 1994.8 【NC84-E13】)(地図室開架)
    *第9章「水路書誌」(pp.268-290)
  • 海上保安庁水路部 編 『日本水路史 : 1871~1971』(日本水路協会 1971 【NC87-6】)(地図室開架)
    *第Ⅴ編・第6章「水路書誌・通報・供給業務」(pp.580-613)
  • 海上保安庁海洋情報部 編 『水路図誌使用の手引』(海上保安庁 2014.7 【NC87-L13】)(地図室開架)
    *第1章「水路図誌の共通事項」(pp.1-6)、第3章「水路書誌」(pp.36-40)

4. 関連サイト

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