伊能図

伊能図とは、19世紀はじめに伊能忠敬の率いる測量隊によって作成された地図の総称です。伊能図には縮尺、収録地域、制作時期によって多くの種類があります。縮尺によって大図・中図・小図の3種類と、その他の少数の図に分類できます。
文政4(1821)年に幕府に献上された「大日本沿海與地全図」(日本全土,沖縄諸島を除く)は、次のように構成されています。

  • 大図(全214図)  縮尺 約1:36,000
    (1町を1分、1里を3寸6分に縮小。現在の単位では約4kmを約11cmに縮小)
  • 中図(全8図)   縮尺 約1:216,000
    (1里を6分に縮小。現在の単位では約4kmを約2cmに縮小)
  • 小図(全3図)   縮尺 約1:432,000
    (1里を3分に縮小。現在の単位では約4kmを約1cmに縮小)

「大日本沿海輿地全図」の正本が明治6年の皇居火災で焼失したのをはじめ、正本と断定できる図は伝存していません。現存する伊能図は正本の控えであった副本、副本を書写した写本などです。

ご紹介する資料情報の【 】内は当館請求記号です。

1.国立国会図書館の所蔵

1-1.原資料

以下に紹介する資料はすべて「国立国会図書館デジタルコレクション」で公開しておりますので、そちらを御利用下さい。原資料は古典籍資料室で所管しておりますが、資料保存の必要性と原資料が非常に巨大なものであるため、閲覧はできません。

1-2.復刻版

大図・中図・小図

  • 『伊能図大全』 (河出書房新社 2013.12 【G67-L5】ほか 全7巻)(人文総合情報室・地図室開架)
    「大図」は、国立国会図書館所蔵の「大図」43枚の他、アメリカ議会図書館、国立歴史民俗博物館等所蔵の「大図」全214枚を縮小して収録。アメリカ議会図書館所蔵大図で原本が無彩色に近い図は、着色再現されています。「中図」は日本写真印刷所蔵(フランス、イブ・ペイレ氏旧蔵)、「小図」は東京国立博物館所蔵を縮小して収録しています。第6巻に解説、第7巻に地名索引があります。

大図

  • 『伊能大図総覧』(河出書房新社 2006.12 【YP6-H53】上・下・解説)(地図室開架)
    大図214枚全てを約1/3程度に縮小して収録。国立国会図書館所蔵の「大図」の他、アメリカ議会図書館、国立歴史民俗博物館等所蔵の「大図」も含まれています。

大図・小図

  • 『伊能図集成:大図・小図:最終上程版』 (柏書房 1999 【YP6-159】)(地図室開架)
    「大図」は、国立国会図書館所蔵の「大図」43枚を41%に縮小して収録。「小図」は、阿部正道氏所蔵「蝦夷地の図」と都立中央図書館所蔵の「本州東部の図」「日本西南部の図」を縮小(全体図を31%に、部分図を48%に)して収録しています。

中図

  • 『伊能図 : 東京国立博物館所蔵伊能中図原寸複製』(武揚堂 2002 【YP6-170】)(地図室開架)
    東京国立博物館所蔵の「中図」の原寸複製の他、解説・各種資料が掲載されています。
  • 『伊能中圖:大日本沿海實測圖』 (武揚堂 1993 【YG47-3】)(地図室書庫)
    1:432000,1:2000000
    東京国立博物館蔵の複製。実物の1/2程度に縮小して収録。
    「北海道 1」「北海道 2」「東北」「関東」「中部・近畿」「中国・四国」「九州 1」「九州 2」に分割されています。

その他

  • 『江戸實測圖』(東京市 1927.2 【YG17-Z-342】)索引図(PDF file: 690 KB)(地図室書庫)
    縮尺 約1:6,000にて作成された『江戸實測圖』(江戸府内図)の模写図です。
    (「東京市史稿 : 市街篇」 (1914-1943年刊) の附圖第三)

2.関連サイト