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第114回常設展示 洋裁の歴史

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第114回常設展示 洋裁の歴史

キーワード:洋服;洋装;ミシン  カテゴリ:社会・労働・教育 件名(NDLSH):洋裁--歴史  分類(NDC):383

 

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平成13年5月28日(月)~7月27(金)

 

学校から帰ってくると、窓辺でお母さんがカタカタとミシンを踏んで洋裁をしていた…そんな思い出を持つ方も多いのではないでしょうか。でも、洋服はもともとは西洋の服装です。洋裁はいつ頃から普及しだしたのでしょうか?  この展示では、洋装の習慣が入ってきた明治時代から、洋裁学校が爆発的に流行した戦後、洋服を着ることが当たり前になり、既製服が普及した現代までの、洋裁の歴史をたどります。

展示資料一覧

【 】は当館請求記号

明治時代:洋装の普及

軍服の制定や鹿鳴館での夜会の開催に伴い、洋服はまず上流社会においてのみ普及したようです。日本における「洋装」の始まりを見てみましょう。

1)風俗画報
東陽堂〔編〕  東陽堂  1号  1889.2.10(明治22年)
【雑23-8】
鹿鳴館で開かれた夜会において、華族婦人等により着用された婦人中礼服。「肉體」「手套」の文字が面白い。また、左頁は当時東京で流行した髪形だが全て日本髪で、服装も和服であることに注目。
2)洋服裁縫教科書
衣服改良会編  東京  太陽舎  1903.9(明治36年)
【YDM68692】
明治時代の洋裁の教本。この頃、洋服は普段着というより特別な機会に着用する服装が中心で、教本も家庭向けではなく専門の仕立て屋向けだったことがわかる。 目次より:各種の裁方及縫合法 背広 オーバーコート モーニングコート フロックコート 燕尾服 大礼服 インバニスコート トンビ 吾妻コート
3)洋服裁縫教科書 第二章
渡辺滋著  東京  東京裁縫女学校  1904.8(明治37年)
【YDM68693】
洋服裁縫の「例題」として三種類のベスト(展示部分は燕尾服の中着用)があげられている。
大正時代〜戦中:洋装の普及と洋裁

男性の洋装化は比較的早く進み、子ども服も活動衣として奨励されました。一方、一般の女性に洋装が普及し始めたのは大正後期からのようです。また、昭和に入ると国民服の制定により、簡易な洋服または和服の改良服が平服となりました。

4)ミッチエール式小児洋服裁縫図解 附・袴裁縫
魚住清記著  大阪  立川文明堂  1916(大正5年)
【327-888】
男女児水兵形洋服・簡易服の縫い方等。通学用子供服を意識してあるためか、附録として袴の裁縫についても触れてある。
5) 主婦の友
主婦の友社  8巻3号  1924.3(大正13年)
【Z6-29】
当時大流行したワンピース・ドレスの作方。女性の洋装化の大きな契機となったのは、大正12年9月1日に起きた関東大震災。和服を着用していた女性は裾や袂に動きをさまたげられて逃げ遅れ、被害は甚大だった。本書にも「震災後婦人の洋装が目立って多くなったことは、まことに喜ばしい現象だと思います」という記述が見られる。
6) 正しき国民服の作り方
洋装社編輯部編  東京  洋装社  1941.6(昭和16年)
【EF25-453】
戦時中の洋装。動きやすく、またある程度の正式な場における略装として通用する服装をと考案された。
ミシン史

ミシンは1800年台に初めて日本に持ち込まれましたが、それが一般家庭に普及し始めたのはいつごろからだったのでしょうか。ここではその経過を追ってみました。

7) 日本ミシン産業史
日本ミシン協会日本ミシン産業史編纂委員会編  東京  日本ミシン協会 1961(昭和36年)
【582.1-N686n】
戦後、爆発的に需給台数が増えているのがわかるとともに、輸出量も大幅に伸びているのが注目される。
8) ミシンの使い方と修理
田中弘義著  東京  大日本雄弁会講談社  1951(昭和26年)
【593.4-Ta728m】
9) 上手に縫える家庭ミシンの使い方 故障と修理
宮脇昌男著  東京  田中書店  1957(昭和32年)
【593.4-M661k】
資料8と共に、家庭用ミシンのハウツー本。この時期、類書が多数あり、家庭でのミシンの普及度が窺われる。
10)国産ミシン・編機総覧  1967年版
東京  日本ミシンタイムス社  1966(昭和41年)
【582.1-N6864k】
家庭用ミシンの他、業務用ミシンや編み機の写真入り広告カタログ。
戦後:洋裁学校の流行

敗戦後、アメリカの占領下で洋服文化はすっかり定着しました。アメリカ文化へのあこがれ、女性の生計の道…洋裁学校はすでに戦前からありましたが、戦後、花嫁学校の側面もあったことから、爆発的に生徒数を増やしました。

11) 朝日新聞  縮刷版
東京  朝日新聞東京本社 1957.1.13(昭和32年)夕刊 「日本人 11 体当たりで"服装革命"」
【Z99‐5】
当時の洋裁学校ブームを生き生きと伝える記事。洋裁学校の入校目的のほとんどは「家庭に入って困らぬように」だったという。「こういう社会ですから、女だって腕を持ってないと不安ですわ。腕さえあれば夫に死なれても困りませんもの」とも。
12) 週刊サンケイ
扶桑社〔編〕  東京  扶桑社  6巻18号通巻273号 1957.5.5(昭和32年)
【Z24‐17】
「オトコ23名洋裁学校に入る でもやっぱり恥ズカシイ…」
洋裁=女性が学ぶもの、というイメージは強く、男子生徒の入校が記事として取り上げられるほどだった。
13) サンケイグラフ
東京  産業経済新聞社  [59]号 1955.9.18(昭和32年)
【Z051.4‐Sa2】
「誰がための…女の学校」
公認の学校だけでも全国で5000余校にもなったという洋裁学校ブーム。その原因を、「親ごころと親ごころを巧みにつかんだ学校経営者の商魂との雄大なる合作」と分析する。
家事としての洋裁

既製服がまだたくさん出回っていない時代は、家事の大切な一部として「洋裁」がありました。でも、現代はどうでしょうか?。家事の参考として出版された家庭百科などから、「洋裁観」の変遷を追ってみました。

14) 家事と雑用
矢島祐利,矢島せい子共著  東京  岩波書店  1953.5(昭和28年)
【590-Y644k】
「このごろは婦人の服装もだいぶ洋服になりました」という和服から洋服への移行期のもの。「既製品にすぐに飛びつくという傾向も珍妙な服装をはんらんさせるもとになります」、という記述もあり、当時の既製服がまだまだ未成熟であったことを伺わせる。また、「男子の洋服や制服を自宅で作る家は例外的…裁縫の問題は主に子供をも含めた婦人の着物ということになりましょう」という記述もあり、婦人服・子ども服中心が中心という洋裁の特徴も読み取ることができる。
15) 家庭で縫う服
田中千代著  東京  婦人画報社  1951.11(昭和26年)
【593.3-Ta817】
「家庭で縫う服」としてブラウス、スカートのみならず下着の作り方まで紹介。
項目:寸法の計り方・原型篇、ブラウス篇、スカート篇、ワンピース篇、下着篇、部分縫篇
16) 家庭百科大事典 第7  衣服・裁縫
宮崎直江等著  東京  暁教育図書  1966.11(昭和41年)
【031-Ka598】
日本の洋裁の特徴は、市販のパターンを用いず、原型から自分で作ってしまうという徹底ぶりにあった。フィガロ紙の記者が「あんなに面倒な洋裁図面を引く」と驚嘆したことを、資料11の朝日新聞(1957)も伝えているが、ここでもその伝統は踏襲されている。
項目:「家庭洋裁の基礎」「婦人服の作り方(ブラウス、スカート、ワンピース、ねまき、ツーピース、スモック、エプロン、スラックス)」「子ども服の作り方」
17) 主婦の友生活百科事典 第9巻  和洋裁ホームソーイング・布地知識
東京  主婦の友社 1975.3(昭和50年)
【EF21-40】
やはり原型作成から洋裁を説き起こしているが、「型紙なしのクイック洋裁」という項目も登場。 項目:ブラウス、スカート、ジャンパースカート、ワンピース、パンタロン、ジャケット、赤ちゃん・子ども服、型紙なしのクイック洋裁、リフォーム
18) 図解生活大百科<シベール> 10 装い・美容・シェイプアップ
東京  講談社 1985.5(昭和60年)
【EF21-174】
この頃になると洋裁のページは縮小するが、原型の作り方も一応、残っている。本書には具体的な服の作り方は載っていない。
項目:洋裁の基礎(用具、基本縫い、部分テクニック、付属品のつけ方)
19) Non-no生活基本大百科
東京  集英社  1994.10(平成6年)
【EF21-E259】
もはや「洋裁」の項目は無くなり、「つくろいもの」だけになっている。
項目:つくろいものの基礎知識
洋裁雑誌に見る時代の変遷

『ドレスメーキング』と『装苑』。かつて「ドレメか文化か」と言われるほど一世を風靡した洋裁学校「ドレスメーカー女学院」(現・ドレスメーカー学院)と「文化服装学院」(現・同)が出版する2大スタイルブックでした。しかし、洋裁雑誌であることを捨てなかった『ドレスメーキング』は1993年に休刊、一方の『装苑』は作り方ではなくファッション情報を中心とする編集方針へと転換し、現在も出版されつづけています。

20) ドレスメーキング
鎌倉書房〔編〕  東京  鎌倉書房  2号  1949.8(昭和24年)
【Z6-531】
当館所蔵の「ドレメ」の一番古い号。「アメリカ航空便モード集」、「ニューヨーク夏のコレクション」、「ニューヨークだより」などアメリカ経由のファッション情報が載る。
21) ドレスメーキング
鎌倉書房〔編〕  東京  鎌倉書房  565号  1993.5(平成5年)
【Z6-531】
休刊前の「さよなら号」。ファッション情報は昔の「ドレメ」よりも少なく、作り方に集中した編集。
22) 装苑
東京  文化出版局  3巻6号  1948.7(昭和23年)
【Z6-530】
当館所蔵は3巻1号(1948.1)から。ファッション情報はあまりなく、学院長の「国の再建と服装道徳」という論説や「新しいデザイン法」「縫方の理論と実際」といった堅めの論文が見られる。
23) So−en(『装苑』の改題)
東京  文化出版局  56巻1号  2001.1(平成13年)
【Z6-530】
1995年までは洋服の作り方のページや型紙の付録がついて「洋裁雑誌」の名残があったが、現在はまったくなくなり、読者が作り手であることを意識しつつも「行きたいね、京都」のような一般的な記事(案内人はモデルとスタイリストではあるが)も載るものとなった。
多様な「洋裁」

現在は安い既製服もたくさんあり、洋服を家庭で自作する必然性はなくなりました。でも、洋裁材料をあつかう店は業績を伸ばしており、さまざまな形で手作り服を楽しむ人々がいます。

24) 商業界
東京  商業界  52巻5号  1999.5(平成11年)
【Z4-142】
「お客が求める"お値打ち"とは何か ユザワヤ津田沼店に学ぶ�」
大躍進するホビークラフトの大型専門店の成功例に学ぶ特集。「自分で何かつくってみたい」というお客の創造性をすべて満足させたいという理念で、充実した品揃えと、知識のある販売員を配置することで業績を伸ばす。「自分で何かつくってみたい」は昔も今も変わらないようだ。
25) 手作りbook
「ケラ!」特別編集  東京  バウハウス  1999.11(平成11年)
【EF25-G1689】
ストリート系の若者向けの手作り指南本。布に穴を開けただけのスカートなど、洋裁学校卒業生のお母さんならあきれるような作品が紹介されているが、比較的難易度が高い作品もある。女子だけでなく男子も積極的にオリジナルのおしゃれを楽しんでいることが伺われる。
26) ママが着せたい!憧れのヒロインドレス
東京  日本ヴォーグ社  2000.5(平成12年)
【EF25-G1878】
子どもができれば可愛い手作りの服を着せたいと思うのは親心。子ども服の作り方の本は現在でもた くさん出版されているが、中には母親自身のお姫さま願望を子どもに託すこんな極端な例も。
27) コスプレ−ヤ−  松村昭宏写真集
松村昭宏著  東京  扶桑社  2000.1(平成12年)
【KD911-G69】
好きなアニメのキャラクターやミュージシャンの格好をする「コスプレ(コスチュームプレイ)」愛好家が「コスプレーヤー」。本書収録のほとんどの衣装が手作り。彼らの洋裁の腕前は半端ではない。

☆ 請求記号がYDMで始まる資料はマイクロ資料でのご利用になりますので、展示期間中でもご利用になれます。

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