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第122回常設展示 関西への旅 -江戸時代から現代まで-

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第122回常設展示 関西への旅 -江戸時代から現代まで-

キーワード:観光;旅行;京都;奈良;大阪  カテゴリ:経済・産業 件名(NDLSH):観光事業--近畿地方--歴史;旅行--歴史  分類(NDC):384.37;689.216

 

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平成14年10月1日(火)~11月29日(金)

 

皆さんは関西というと、何を思い浮かべるのでしょうか?大阪なら「漫才」「食い倒れ」、京都・奈良ならなんといっても「古都」「修学旅行」でしょうか。いろいろな連想をされることと思いますが、それらの連想の多くに共通するキーワードは「観光地」ということになるのではないでしょうか。
では、この関西=「観光地」のイメージを定着させた関西への旅行の歴史はどのようなものだったのでしょうか。江戸時代にも関西に観光に出かける人はいたのでしょうか。時代とともに関西への旅行はどのように変化していったのでしょう。
10月7日に新たに国立国会図書館関西館が京都府相楽郡精華町に開館しました。そこで本展示では、関西、特に京都・大阪・奈良への旅の変遷を時代を追ってご紹介いたします。

展示資料一覧

【 】は当館請求記号

江戸から明治へ

江戸・京都間徒歩で半月、往復1ヶ月

庶民が観光旅行を楽しめるようになったのは江戸時代に入ってからでした。当時の民衆は観光旅行を禁じられていましたが、参詣・参宮のための信仰上の旅行は許されていたため、伊勢参宮の名目を借りて観光旅行に出かけていました。古代から文化の中心であった京都・奈良は当時から人気のある観光地であり、また大都会である大阪へは歌舞伎見物などを目当てに、多くの人が集まりました。

1)京童 中川喜雲 著 (新修京都叢書 第1巻)
野間光辰 編 新修京都叢書刊行会 編 2版 京都 臨川書店 1993.11
【GC156-E90】
江戸時代初期に刊行された仮名草子の中の一冊。京都についてのガイドブックの最初のものといわれている。
2)嬉遊笑覧 12巻附1巻
喜多村信節 著 東京 近藤活版所 1903
【YDM101805】
文政13年(1830)に出版された一種の百科事典『嬉遊笑覧』(キユウショウラン)には「今の人は、まず何よりも京・大阪・大和めぐりをする」といったことが記載されています。
3)東海道中膝栗 (日本古典文学全集 49)
木十返舎一九〔著〕中村幸彦 校注版地 東京 小学館 1974.12 (第16版:1992.10)
【KG237-G8】
享和二年(1802年)に出版された『東海道中膝栗毛』は大評判となり、当時の人々の旅への興味を駆り立てました。主人公の弥次郎兵衛と北八は江戸から伊勢をめぐり、そのあと京都・大阪まで足を伸ばして旅を楽しんでいます。
4)図説浮世絵に見る江戸の旅
佐藤要人 監修 藤原千恵子 編 東京 河出書房新社 2000.6
【DK7-G236】
旅人たちは京都で名所旧蹟見物をしたあと、大坂で歌舞伎などの娯楽を楽しみました。当時、京都・大坂・江戸は三都といわれ、地方の人にとっては一度は訪れてみたいあこがれの都でした。

名所図絵と道中記

幕末になると庶民の旅が徐々にさかんになっていき、さまざまな旅行案内書が出版されるようになりました。道中記というのは旅路の宿や、名所古跡、人馬の賃銭、旅行上の注意などが記載されたもので、懐中に入れて持ち歩けるような冊子になっており、今の列車時刻表に案内記をかねたようなものでした。名所図絵は持ち歩いて参照できるガイドブックのような使い方のほかに、家にいながらにして旅の気分を楽しもうという人々にも人気があったようです。

5)京名所図絵と祇園山鉾
田中泰彦 編著 東京 岩崎美術社 1990.3
【GC156-E30】
江戸後期に出版された『都名所図絵』は大ベストセラーになりました。本書はその『都名所図絵』を幕末に全面的に改訂し、出版した『花洛名勝図絵』の版画を収録したもの。
6)大和巡独案内道中絵図(天保頃刊) (道中記集成 第38巻)
今井金吾 監修 東京 大空社 1997.12
【GB391-G13】
図の上部に『大和巡り道筋心得』として、伊勢に詣でたあとの大和の巡り方などが解説されています。
7)西国の旅 文久二年
池谷雄 編著 小山町(静岡県) 三洋印刷 1978.11
【GB354-67】
内容:道中日記帳・諸国神社仏閣名所旧跡拝礼記 遠藤恒四郎著
幕末の文久2年(1862)、静岡県の青年が52日間かけて関西方面へ旅行した際の『道中日記帳』と『諸国神社仏閣名所旧蹟拝礼記』を旅の様子などがわかりやすいように編集したもの。大阪見物では「とらや」でまんじゅうを食べたり、見世物小屋をのぞいたり、当時の旅の様子が伝わってきます。

明治の道中記と名所図絵

明治2年(1869)1月20日、太政官より江戸時代の関所を廃止する布告があり、誰でも自由に日本全国を旅行することができるようになりました。それにともなって名所図絵や道中記も、より詳しい旅の情報を提供するようになっていきました。

8)諸国道中記 絵入改正
村田徽典 編 東京 山静堂 明治9年12月
【YDM22544】
日本全国の大まかな街道ごとの道中記。「ト」は宿屋、「トヤ」は休宿の略号。当時伏見から大阪まで蒸気船がでていたことがわかります。
9)名勝漫遊大阪新繁昌記 一名・旅客独案内
岡本可亭 著 大阪 盛文堂 明治25年11月
【YDM25218】
前半に大阪に関する地理風俗から鉄道時刻表、病院、季節の行事、名所旧蹟案内が収録されており、後半は『東海道中膝栗毛』を意識して、著者が初めて大阪見物にきた観光客を相手に大阪案内をするというお話になっています。
10)市内漫遊大阪名所図絵
榊原英吉 編 大阪 藜光堂 明治23年4月
【YDM25249】
大阪市内の名所を詳細な版画で紹介している名所図絵。当時の心斎橋附近の賑わいが伝わってきます。

名所写真類

写真技術の普及とともに、それまでの名所図絵に代わる写真帖も多く出版されました。

11)近畿名勝写真帖
鳴戸源之助 著 大阪 玉鳴館 明治34年 2冊(続共)
【YDM25404】
京都・大阪・奈良などの名勝地を集めた写真帖。現在も人気のある観光地が多く紹介されています。
12)大和名所写真画帖
扇田清登 著 上市町(奈良県) 扇田写真館〔ほか〕 大正2年
【406-50】
奈良の名所を撮影した写真帖。現在も有名な鹿たちが写っています。
鉄道の普及

列車で新橋—神戸間(開通時)およそ19時間

明治22年(1889)に新橋−神戸間の鉄道が開通し、安く早く旅することができる時代がやってきました。大正時代に入ると、各地に旅行愛好家の集まりができ、旅行が日本人の生活により浸透していったことがうかがえます。

13)旅
2号(明治36年1月) 報知社
【雑19-14】
鉄道の普及にともなって多くの人が旅行に出かけるようになり、旅行をテーマにした雑誌も刊行されるようになりました。これは、前半が旅に関する記事で、後半が時刻表という月刊誌です。記事には小説などの軽い読み物、名所案内、旅行の心得などが掲載されています。
14)大日本汽車名所独案内
大阪 赤志忠雅堂 明治22年11月
【YDM22594】
路線図と駅を中心とした観光案内図。まだ列車の通っていない名所までの距離も描かれています。
15)千山万水
大橋乙羽 著 東京 博文館 明治32年2月
【YDM22583】
一般人の旅行がさかんになるにつれ、紀行文なども刊行されるようになっていきました。この『千山万水』は当時ベストセラーになった紀行文集です。
16)罵詈痴団上方見物
浜田専一 編 横浜 浜田専一 大正10年
【398-33】
大正時代、総勢18名の団体(会社の仲間でしょうか?)で東京駅から電車で関西方面へ旅した記録です。イラスト・写真などもあり、楽しげな旅の様子が伝わってきます。
17)近畿の旅と其附近めぐり 日かへり一泊二泊
大阪 三精堂書店 大正12年
【514-114】
大正時代になると鉄道も普及して、一日でもさまざまな名所めぐりを楽しむこともできるようになりました。本書は京阪神から出発する日帰りまたは一泊ニ日程度の旅を対象にしており、駅ごとに集めた名所案内のほかに、一日で回れる名所を集めた「遊覧の栞」が付録としてついています。
18)物見遊山 漫画と文
岡本一平 著・画 東京 磯部甲陽堂 大正5年
【363-29】
漫画と文による全国各地の紹介書。作者は、大正時代の人気漫画家、岡本一平(画家 岡本太郎の父)です。
19)京都日記 (桃の雫 感想集)
島崎藤村 著 東京 岩波書店 昭和11年
【708-80】
小説家の島崎藤村が4泊5日の日程で京都に旅行した時の日記。日記の様子から、行き帰りの行程に一日ずつ割いていることがわかります。


趣味の旅

20)古寺巡礼
和辻哲郎 著 東京 岩波書店 大正8年
【386-81イ】
奈良の古寺を巡り、古美術などを鑑賞した紀行文。この頃から、それまでの風光明媚なところを観光する旅行から、もっと詳しくいろいろな面から旅を楽しもうという風潮が生まれてきました。
21)古跡めぐり 趣味の旅
笹川臨風 著 東京 博文館 大正8年
【388-67】
大正時代に多く観光された『趣味の旅』というシリーズの一冊。ほかにも『古社寺をたづねて』『南都と西京』『不思議をたづねて』『名物をたづねて』などのガイドブックが刊行されていたようです。


修学旅行

京都・奈良といえば修学旅行の行き先として現代でも人気のある地域ですが、明治・大正の頃から修学旅行生向けのガイドブックなども多く出版されていました。

22)京都史蹟案内 修学旅行 大正13年版
西田直二郎,魚澄総五郎 共編 京都 宝文館 1924
【291.62-N746k】
大正時代の中学程度の修学旅行生向けの京都ガイドブック。日程によって効率的にまわれるようなコース設定例や電車の乗換え案内も掲載されています。
23)修学旅行の現状と展望
東京 日本修学旅行協会 1976
【FC12-3】
巻末の『修学旅行100年史年表』によれば、修学旅行という用語が使用されるようになったのは明治20年(1887)ごろのようです。以後、戦争で中断した時期もありましたが、昭和34年(1959)修学旅行専用列車「ひのて・きぼう号」が製作完成され、東京−大阪間に運転、昭和35年(1960)修学旅行協会主催による「引率者のための現地視察講習会」が京都・奈良で開催されるなど、しだいに関西方面が修学旅行の中心地になっていく様子がうかがえます。
戦後〜現在

新幹線「のぞみ」で東京−新大阪間(現在) 約2時間30分

戦後数年は、旅に出ることは多くの国民にとって贅沢なものでしたが、経済発展や交通網の整備が進み、再び、旅行に出かける人が増えてゆきました。

24)旅と読物
3巻6号(昭和23年6月) 交通協力会
【Z31-364】
戦後間もない時期に刊行された、時刻表と紀行文等の旅に関する読み物の掲載された雑誌。当時の時刻表によれば東京−大阪間は急行でも約12時間かかったことがわかります。
25)サザエさん 第4巻
長谷川町子 著 東京 朝日新聞社 1994.12
【Y84-E5745】
サザエさんとマスオさんが法事で大阪に行き、京都や奈良を観光して帰ってくるという話。まだ旅行が贅沢だった時代の旅の様子がうかがえます。
26)観光京都10年のあゆみ 昭和23-32年
京都 京都市観光局 1958
【686-Ky995k】
昭和23年(1948)から32年(1957)までの10年間の京都の観光についての統計書。昭和26年ごろから観光ブームがおこり、京都へやってくる観光客も激増しました。

新幹線開通

27)旅
39巻5号(昭和40年5月) 東京 日本交通公社出版事業局 〔1925〕- 月刊
【Z8-24】
昭和39年(1964)に東海道新幹線が開通し、東京—大阪間の時間が大幅に短縮され(東京−大阪3時間10分)、関西日帰り旅行も可能になりました。本号では『特集/大阪・神戸』として、万博前の大阪の魅力を紹介しています。


大阪万博

28)EXPO'70 写真集 日本万国博
朝日新聞社 東京 1970
【D7-9】
昭和45年(1970)に大阪万博が開催され、関西への旅行者が増えました。

女性の旅

29)Nonno
3巻19号〔通巻〕no.20(昭和48年10月20日)集英社〔編〕 東京 集英社
【Z24-229】
1970年代に、若い女性を対象とした雑誌『anan』『Nonno』が創刊されました。両雑誌には、当時、旅行記事が盛り込まれており、雑誌を手に観光地を旅する女性が増えました。
30)女性のための旅行プラン
東京 日本交通公社 1961 2版
【291.09-N685z】
この頃から、女性同士のグループ旅行が増え、そのためのガイドブックも刊行されました。山や湖、温泉、古寺めぐりなど、女性の好みそうな行き先を紹介しています。
31)Hanako
11巻42号(1998年11月4日)
マガジンハウス〔編〕 東京 マガジンハウス 1988- 28cm 週刊 特別編集とも

【Z24-929】
若い女性を対象としたグルメ雑誌などでも、京都特集などが組まれるようになり、旅の目的が多様化してきていることがうかがえます。


旅からレジャーへ

1980年代以降、気軽に海外旅行に出かける人が増えたことに象徴されるように、旅行はいっそう身近なものになり、国内旅行、特に東京から新幹線で3時間ほどの京都・大阪・奈良は、関東の人にとって、よりお手軽な旅行になっていきました。

32)親子で出かける大阪京都奈良遊び場カタログ
(ブルーガイドニッポンα 309)
ブルーガイド国内版出版部 編 東京 実業之日本社 1996.8

【Y77-G930】
旅の楽しみ方が観光からレジャーに変化していく中、それまで観光地紹介中心だったガイドブックも目的に合わせて選べるようになりました。本書は親子連れを対象にした関西方面のガイドブックです。
33)関西ウォーカー
2002年4月16日号 2002 No.8
角川書店 〔編〕 東京 角川書店 1994- 29cm 隔週刊

【Z11-B224】
若者向け情報誌の関西新名所特集です。京都・大阪・奈良の中間地点にある国立国会図書館関西館も紹介されています。みなさんも関西へお出かけの際には、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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