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満洲治安維持ニ関スル件

収載資料:日本外交文書 昭和期I 第1部第2巻 外務省編纂 外務省 1990.12 pp.135-137 当館請求記号:A99-Z-12
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満洲治安維持ニ関スル件
昭和3年6月7日 閣議決定

昭和三年六月七日閣議ニ於テ別紙ニ付キ議シタル結果左ノ事項ヲ決定セリ
一、満洲ニ対スル兵力増加ノ必要生スル場合ノ為不取敢運送船ヲ用意シ置クコト(本項ハ陸軍大臣ノ権限ニテ為シ得ル所ナリ)
一、関東軍司令官ヲシテ固有ノ任務ニ復セシムルコト即チ別紙第一及第二ノ場合ニ対スル備ヲ為ス必要アリトノ頭司令官ヨリ取リ去ルコト
尚右閣議後田中総理ヨリ左ノ通リ森政務次官ニ話サレタル旨同政務次官ヨリ伝ヘラレタリ
別紙第一ノ場合ハ十ニ一ツモアリ得サルヘク若シ之アリトスルモ充分間ニ合フヘシ即チ遼河ノ辺ニテ適当ニ処置ヲ為サハ可ナルヘシ第ニノ場合即チ哈爾賓吉林ニ迄派兵スルヲ要スルカ如キ場合モ起ラサルヘク斯カル場合ハ今日考ヘ置クヲ要セス

(別 紙)
一、関内ニ於ケル南北両軍ノ状況ヲ見ルニ北軍ノ引上ニ対シ南軍ハ強イテ之ヲ追撃セサルモノノ如ク従ツテ日本側ニ於テ支那軍隊ノ大規模ナル武装解除ヲ必要トスルカ如キ事態ハ大体ニ於テ発生セサルモノト見ルヲ得ヘキカ如キモ政府トシテハ万一ノ場合ニ付テモ予メ相当ノ用意ヲ為シ置クコト必要ナリ
二、然ルニ一方張作霖ノ負傷呉俊陞ノ死亡事件等ニ伴ヒ満洲ニ於テハ一般ニ不安ノ空気横溢シ兵変発生ノ虞絶無ヲ保シ難キノミナラス若シ如此不安ナル空気ニ乗シテ排日排外ヲ煽ル者有ラハ日本人ノ生命財産ニ対シ危険ヲ感スルカ如キ事態ヲ発生セストモ限ラサル状況ニ在ルヲ以テ政府トシテハ此場合ニ対スル措置ヲモ併セテ講究シ置クコト必要ナリトス
三、第一ノ場合ニ対シテハ「奉天付近ニ相当部隊ヲ集結シテ形勢ノ推移ヲ注視シ今日ノ予想ニ反シ若シ混乱セル大部隊ノ満洲ニ進入セムトスル形勢生スルニ於テハ其際京奉沿線適当ノ地点ニ出動シ混乱部隊ノ武装解除其他必要ノ措置ヲ執ラシムルコト必要ナルヘク」又第二ノ場合ニ於テハ満洲一円ニ散在スル二十万ノ日本人ヲ総テ現地ニ於テ保護セムコトハ殆ント不可能ニ属スルカ故ニ重要ナル地点例ヘハ哈爾賓、吉林、龍井村、四平街、鉄嶺、奉天、遼陽、営口、安東ノ如キ地点ニ居留民ヲ集合シ兵力ヲ以テ之ヲ保護スルヲ要スル次第ナリ
陸軍ノ意見
「」ヲ左ノ通リニ修正スルコト
「大概現状ニ於テ形勢ノ推移ヲ注視シ今日ノ予想ニ反シ若シ混乱セル大部隊ノ満洲ニ進入セムトスル形勢生スルニ於テハ其際京奉沿線適当ノ地点ニ出動シ混乱部隊ノ武装解除其他必要ノ措置ヲ執ルニ努メシムルコト必要ナルヘク」
四、上記一及二ノ場合ニ対シ関東軍ヲシテ適当ナル措置ヲ講セシメムトセハ其固有ノ任務以外新ナル任務ヲ付与セサルヘカラサルカ此ノ場合ニ於テハ現在ノ関東軍ノ兵力ニテハ其任務遂行ニ不十分ナルカ故ニ適当ニ之ヲ増加スル要アリ
依テ「此際関東軍司令官ニ対シ上記ノ主旨ニ合スル新任務ヲ付与スルト共ニ目下山東方面ニ在ル第三師団ノ一部ヲ満洲ニ移動シテ関東軍司令官ノ隷下ニ置カントス」但シ第一ノ場合タル京奉線方面ニ対スル派兵並ニ第二ノ場合ノ中吉林哈爾賓方面ヘノ出動ニツイテハ外交上機微ノ関係有ルヲ以テ此際関東軍司令官ニ「新任務ヲ付与スルモ政府ノ定ムル時期迄此方面ヘノ出動ハ之ヲ差控ヘシムルコト必要ニシテ」右時期ハ陸軍大臣外務大臣ト協議ノ上決定ス
陸軍ノ意見
「」ヲ左ノ通リ修正スルコト
「此際関東軍司令官ニ対シ上記ノ主旨ニ合スル為ニ新任務ヲ付与セラルル様ニスルト共ニ差当リ目下山東方面ヨリ所要ノ兵力並付属部隊ヲ満洲ニ増派セラルル様ニスルヲ急務トス」
陸軍ノ意見
「」ヲ左ノ通リニ修正スルコト
「新任務ヲ付与セラルルモ其発動ハ一般ノ状勢ヲ顧慮シ適当ニ之ヲ差控ヘシムルコト必要ニシテ」
五、間島方面居留民ノ保護ニ対シテハ必要ノ場合朝鮮軍司令官ヲシテ措置セシムヘキモ新任務ノ付与ハ更ニ適当ナル時期ヲ待チ奏請スルコトトスヘシ
昭和三年六月七日閣議用トシテ起草

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