木船建造実施確保ニ関スル件

昭和18年6月29日 閣議決定

収載資料:国策研究会文書 憲政・美濃部洋次文書 Reel No.42 item2905 当館請求記号:憲政資料室

昭和十八年度ニ於ケル木船建造ノ実施確保ニ当リテハ国家諸動員計画ノ運用並ニ木造船ノ実情ニ関連シ各般ノ調整ヲ必要トシタル処、現下ノ船舶事情等ニ鑑ミ速ニ左ノ措置ヲ講ズ
一、南方ニ於テ建造予定ノ木船(二十二万総噸)ニ対スル所要資材ハ陸海軍ニ於テ之ヲ負担シ、右ニ必要ナル機関ハ内地ニ於テ製作ノ上優先的ニ之ガ配給ヲ為スコト
二、内外地及満支ニ於テ建造予定ノ木船(五十八万総噸)並ニ其他ノ乙造船ニ対シテハ既定物動配当量ノ外之ニ必要ナル不足資材ノ約三分ノ一ヲA、B、BX、Cヨリ物動配当比ニ対シ一、一、三、一ノ比率ヲ以テ供出シ、差当リ右範囲内ニ於テ之ガ建造ヲ進ムルモノトスルコト。尚爾余ノ不足資材ニ付テハ造船ノ進捗状況等ヲ勘案シ別途速ニ措置スルコト
三、既定計画ニ基ク木船建造ノ新設用資材ノ配当ハ極力之ヲ最少限度ニ止ムルコト
四、木船運航用燃料油ハ必ズ之ヲ確保セシメ新造船ノ活用ニ遺憾ナカラシムルコト
五、木船ノ建造ニ付テハ目下陸軍ニ於テ実施中ノ「ゴム」製潜航曳船ノ成績ニ依リテハ之ガ計画ニ適当ナル改訂ヲ加フルコト

備考
第二項A、B、BX、Cヨリノ供出ハ立替融通トシ全般的生産状況ニ応ジ之ガ再調整ヲ図ルコト
尚右供出ノ時期的細部ノ実行ハ事務的ニ協定スルコト