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国民貯蓄新目標閣議決定

収載資料:日本金融史資料 昭和編 第34巻 日本銀行調査局 大蔵省印刷局 1973.5 p.439 当館請求記号:338.21-N684n
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国民貯蓄新目標閣議決定
昭和19年9月15日 閣議決定

国民貯蓄新目標四百十億円
政府は臨時軍事費追加予算二百五十億円の成立に伴ひこれが財源として公債五十一億九千万円を発行するので本年度国民貯蓄増加目標額を改訂増加することゝなり、第八十五臨時議会に於いて石渡蔵相は五十億円程度の増加が至当である旨言明したが、九月十三日大蔵省で開催した国民貯蓄奨励委員会の答申に基き九月十五の閣議で本年度当初目標額三百六十億円より五十億円を増加する四百十億円と決定、情報局から発表した。四百十億円は十八年度目標額二百七十億円より五割二分、十八年度実績三百九億円より三割二分、又本年度当初目標額三百六十億円より一割四分の増加となり一億国民は経済秩序を維持して必勝態勢を完璧ならしむるため決戦生活と決戦生産に渾身の努力を傾注、目標額達成のため貯蓄増強に挺身すると共に、政府に於いても貯蓄の本質に鑑み関係各省間の連絡協調を一段と緊密化し総合施策の推進に遺憾なきことが要請される。
大蔵省では増額した五十億円の貯蓄目標額を近く都道府県別並に貯蓄取扱機関別に配分するが、都道府県別配分に当つては今回増加した予算の使途及びその地域関係を考慮すると共に、本年度当初目標額三百六十億円の決定配分当時は十八年度実績が集計されてゐなかつたので今回はこれも加味し、更に本年度に入つて惹起した各般の情勢の変化特に疎開、米作状況等を勘案して決定する方針である。
取扱金融機関別配分は目標額を直接配分する従来の方法を改め、今回は十月上旬頃迄に都道府県別配分に基いて都道府県で其他地域内の取扱金融機関に配分之を大蔵省で集計して取扱機関別の配分額とする。目標額の増加により地域、職域その他の割当額も自然増加することゝなるが、大蔵省の方針としては従来比較的貯蓄額の低い部分を一般の水準まで増加せしめて高低を平均することに中心をおき、また国債の隣保消化は増加しないことゝしてゐる。
国民貯蓄増加目標額は我国貯蓄政策の推進基盤であり、而も都道府県別に貯蓄取扱機関別配分の関係から従来余り目標額を変更する事はせず今回は昭和十六年度に次いで二回目である。今回の目標額増加に当つては単に公債増加分だけに留むべきか又は産業資金放出の現況からこれを加味して五十億円以上となすべきかに就いて議論があつたが、政府は既に年度半ばを経過してゐるので目標額を余り増加してもこれを達成しない場合国民心理に及ぼす影響を考慮して公債増加分たる五十億円を増加することゝしたのである。併しながら産業資金の放出状況に対しては特に注目を要すべきものがあるので、今回の目標額四百十億円は文字通り最低目標額で、十八年度に於いても目標額突破一割四分七厘強となつてゐるのに徴しても目標額四百十億円より少くとも更に一割以上の増加を目指して貯蓄増強に努めねばならないであらう。
今回の目標額増強の結果、本年度国民貯蓄増加目標額の算定基準は公債資金が二百八十五億円から三百卅五億円に増加した外は生産拡充資金六十億円、企業整備関係吸収資金額五億円、手許資金吸収額十億円に変化はない。又第八十四議会で賀屋前蔵相が説明した国家資金計画に就ては公債資金が五十億円増加したため財政資金、国家所要資金が夫々五十億円増加し、国民所得も六百億円から六百五十億円となつたが、其他の配分関係には変化はなく国民消費資金は百十五億円である。
政府は目標額増加等に鑑み貯蓄増強上従来の方策を一段と強力に推進すると共に、大蔵省に設置した貯蓄制度運営委員会に於いて各種推進施策を研究実施するが、関係各省間の連絡協調を緊密化するため同委員に各省関係官も委員として参加せしむる筈である。

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