米価其の他に就ての覚書

昭和21年9月3日 閣議了解

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.316-317 当館請求記号:DG15-19

一、昭和二十一年度産米買入価格は八月三十一日の閣議に基き一石六百円とすること。(但し若し可能なれば農林大臣は此の範囲にて適当の操作を行ふこと。)
二、右の外早場米約三百五十万石に対しては一石平均五十円の奨励金を付す。但し其の操作は農林大臣に一任すること。
三、昭和二十一年十一月より米麦のみにて二合五勺配給を実行す。但し十一月中は一部藷等の代配を認めること。
四、供出完了者の米麦藷等の自由販売を認めること。若し已むを得ざれば自由販売を趣旨とする何等かの過渡的処置を講ずること。生鮮食料品に就ては時期を選みて速に自由販売の方途を講ずること。
本項に就ては農林大臣は速に之を立案し、経済安定本部と打合せられたきこと。
五、十一月より二合五勺配給実行と共に、米の消費者価格を一石四百五十円とすること。
六、以上の為め昭和二十一年度追加予算に価格調整補給金を計上す。其の金額は買入総額三千万石として其の補給金四十五億円、早場米奨励金一億七千五百万円、計四十六億七千五百万円より、既に昭和二十一年度改定予算に計上せる補給金の使用残額を差引けるものとすること。
七、前項の金額の外は、今後絶対に食糧価格調整補給金又はそれに類似の支出を行はざること。
八、昭和二十一年度改定予算は更に実行予算を編成し、極力経費の節約を行ふこと。
九、昭和二十二年度よりは食糧のみならず其の他一切の価格調整補給金又は之に類似の支出を全廃すること。
一〇、物価政策を速に確立し各種の矛盾(例へば労賃其の他のコスト計算を以て定めたる米価が賃金俸給引上を招来すべしとするが如き、又陸海運運賃の均衡を欠く為め、不足せる輸送機関が却て遊休化すといふが如き)と闇とを経済的に撲滅すること。
一一、経済安定本部の位置を確定し、閣議及び経済閣僚懇談会等との関係を明かにすること。