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昭和21年度下期石炭危機突破対策

収載資料:経済安定本部戦後経済政策資料 第28巻 総合研究開発機構(NIRA)戦後経済政策資料研究会 1995.7 pp.333-339 当館請求記号:DC55-E831
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昭和21年度下期石炭危機突破対策
昭和21年10月4日 閣議決定

我国経済再建の基礎である石炭の生産が、最近の如き低調な状況の侭推移するときは、冬季石炭需要の増大する今年度下記の石炭需要は、極度に窮迫化すること明白な実情に鑑み、此の際全国民一丸となって此の石炭危機を突破する為画期的な施策を講ず(国立国会図書館注1)るものとする。

対策
一、石炭増産への世論喚起
我が国経済の急速な再建は一に懸って石炭の増産にありとの世論を喚起する為一大国民運動を展開すること

二、現地へ督励団を派遣
特に北海道における出炭低調なるに鑑み政府首脳部民間有識者等よりなる強力な督励団を現地に派遣し各種増産隘(国立国会図書館注2)路を即時解決すること

三、増産責任数量の割当
十一月以降各二〇万屯(うち北海道一〇万屯)の計画外増産を図る為炭礦別に労資代表者と協議の上増産責任数量を決定すること

四、食糧の確保
(1)炭礦労務者及家族に対する基本の主食配給量及現行の主食加配量は絶対に維持すること
(2)尚前項主食の基本及加配配給量の確保を図る為、爾今一販〔ママ〕配給とは別個の組織により之を配給することとする
(3)炭礦向副食物についても主食に準じた優先的措置を考慮すること
(4)炭礦労務者及家族に対する右特配分の支給に付ては地方商工局及農林省地方食糧事務所の指導監督の下に労資代表よりなる配給協議会の運用により当該労務者の勤惰(国立国会図書館注3)に応じて加減する様合理的支給方法に付考慮すること

五、増産意欲の向上
(1)増産をした炭礦に対しては増産分に対し一定の方法で計算せられた報償金を新円を以て支払ふ様措置すること
尚右報奨金の相当の部分を労務者側に分配する様配慮すること
(2)固定給を主とした現在の労務者賃銀支払形態を速かに能率給本位のものに切替へる様措置すること
(3)増産に努力した労務者に対しては一人当り一定の新円、酒、煙草、砂糖、衣類等を支給すること

六、資材の確保
(1)炭礦向資材は進駐軍向資材と同等に最優先的に確保すること
この為要すれば炭礦向資材製造用石炭等の確保に関しては一般とは別個の組織を採る外、臨時物資受給調整法に依り炭礦資材の生産者に対し所要の生産命令又は資材譲渡命令を発すること
(2)炭礦に於ける資材購入資金の窮状に鑑み左の金融措置を講ずること
(イ)炭礦に対し復興金融金庫等より下期に於て約一五億円の特別融資を考慮すること
(ロ)炭代の新円払限度を現行の屯当り八〇円より一二〇円程度に拡張する
(ハ)増産をした炭礦に対しては増産分に付て全額新円を以て支払ふ様措置すること
(3)設備拡充資材に付ては先行不安により企業者によつては入手を手控へつつある現状に鑑み現行の新坑開発助成金の増額、堀進費奨励助成金等の交付を行ふこととし尚之等に関する助成金の企業者への直接交付は取止め之を適当な公的機関のなす之等資材の一括購入資金に充当すること
(4)差当り炭礦物資施設組合の活動を一層活発ならしめる為同組合の出資の増額(現在五〇〇万円を二〇〇〇万円に)並に之に対する特別融資(差当り五〇〇〇万円に)を為し資金の充実を図ること
(5)特に窮迫してゐる坑木に付ては別途関係者を中心として強力な供出並受入体制を確立中であるが特に立木所有者の供出意欲を向上する為供出者に石当り一定の新円を交付する外坑木向国有林を積極的に払下げること

七、炭価の改善
生産者買取価格は至急適正価格を先に決めることにより生産者をして自主的に生産費を切下げる様奨励すること

八、以上の施策に照応して炭礦経営者及労務者に対し増産の責任を自覚させると共に職場規律の厳守に付ては労使の協力を得て政府に於ては特段の措置を講ずること

九、石炭増産対策費
石炭増産対策に要する諸費用は一括之を「石炭増産対策費」として計上しその使途に関しては経済安定本部の責任に於て実施する様考慮すること

一〇、其他
(1)山元消費の節約及闇炭の取締に付強力な措置を講ずること
(2)非能率な自家製塩は当分の間停止せしめること
(3)北海道炭の窮迫に伴う下期本州東部地区重要産業の危機を突破する為、九州炭の本州東部向海送の確保を図る必要あるを以て至急適船の優先的配船及
石炭積出港の荷役力の増強を図ること
(4)本件による増産分に付ては特に実施上の調整に支障なき様予め十分留意し置くこと

一一、本件対策の実施に関する監督及促進
(1)本件諸対策の具体的実施に関しては経済安定本部に於て石炭増産協議会の運用により其の適実を期すること
(2)尚経済安定本部に於ては本件実施の監査及促進をなす為関係各省をして常時実施の状況を報告(少くとも旬報にて)せしめること


(国立国会図書館注1) 収載資料では□(空白)となっているが、国立公文書館デジタルアーカイブの画像に基づいて修正した。
(国立国会図書館注2) 収載資料では□(判読不能)となっているが、国立公文書館デジタルアーカイブの画像に基づいて修正した。
(国立国会図書館注3) 収載資料では「勤情」となっているが、国立公文書館デジタルアーカイブの画像に基づいて修正した。
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