第2次食糧緊急対策

昭和22年7月19日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(上) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.119-120・149-151 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

第一 経済復興会議、農業復興会議の救援米醵出国民運動の展開への期待
生産農民の救国の真情に訴えた経済復興会議農業復興会議の国民運動展開を中心として左の救援米醵出運動の急速な実現を期する。
一 経復、農復は全国供出対象五百万農家に呼かけ各戸三升以上の寄附に依る救援米醵出運動を起す。
二 両復興会議は傘下団体中適当なものを選び各部落ごとに取りまとめて右救援米の集荷促進に当らせるとともに、急速に傘下団体相協力農家に対する現地呼かけ運動を展開する。
三 政府は本運動の急速円滑な進展に資する為、本運動に応えて起つた農家に左の物資を放出することとし、両復と協議の上、その各都道府県別配給を実施する。
窒素質肥料  五、〇〇〇トン
銘仙     一〇〇、〇〇〇反
なお、経復は傘下団体を通じ政府割当生産資材を使用せずして製造した農家用品で、政府の証明を受けたものの提供を受け前項の放出物資中に加え使用する。
四 両復は傘下団体中適当なものを選び放出物資の特別配給事務に当らせる。右放出物資は二十一年産米の一一〇%供出農家が本救援米の寄附を実行した場合に限り、政府の定める一定の基準に従い当該農家に特別配給を実施するものとする。
五 経復は特に傘下輸送関係団体を通じ本運動の活発迅速な進展に資するよう集荷米および特別配給用放出物資の輸送の迅速円滑化を図るものとする。
六 本運動に依り集荷せられた米は、当面の各地方の主食需給事情に応じ政府と両復協議の上その配給計画を樹てるものとするも、主として困窮者救援食糧などの用途に充てることとする。但し食糧管理局は経復の申出に依り、本運動促進用物資の提供に対し当該工場労務者労務加配主食について、その基準配給量の範囲内で其の一部の充当用に使用することができるものとする。
七 本運動に依り集荷せられた米は、政府が両復から買上げを行う。
両復は政府から交付を受けた本寄附米の代金を夫々本救援米寄附を実行した各部落に対し還元し、専らその部落費等に充てさせるよう指導する。
八 本運動の実施期間は即日より開始し八月末日までとする。
第二 消費者選択主食代替配給
消費大都市方面自家農園栽培などを主たる目標とし当面の主食配給を任意辞退することを条件として、特殊調味品などの主食代替配給制を実施する。
一 品目
国産缶詰、加工水産物、甘味品類(水飴、葡萄糖、ズルチン、サッカリン)、酒類
二 代替数量及び代替比率
1 代替に使う右品目の数量は、原則として家庭配給その他緊要部門えの割当予定量以外の部分から捻出し得る数量に限る。
2 代替比率はその稀少性に鑑み、適宜決定する。
三 代替配給の手続
1 代替配給希望者は、当該都道府県に於て毎日予め別に定める期日迄に、自己の所属する食糧営団配給所に翌月分の代替配給の希望を申出で、配給所はこれに基き代替品目別、時期別に取纏め系統機関を通じて主務官庁に申告する。
2 主務官庁は右の申告を基礎とし購入券は食糧営団配給所に、現物は夫々の品目の取扱機関宛発送する。
3 予め代替配給希望を申し出でた者は、当該食糧営団配給所において米穀通帳を提示して代替配給の記帳を受けた後購入券を受領し、これを右購入券の記載に従い当該品目の配給店舗に提示しこれに引換えに品目を入手する。
四 価格
公定価格による。
六 実施期間
七月より十月三十一日迄とし品目の供給と希望申出の状況を勘案し、適宜期間を延長又は短縮することがある。
七 実施地域
さし当り六大都市に限定して実施するも、その他の地域においても農林大臣の承認を受けて都道府県知事が定めることができる。
第三 食用油脂の臨時特配
当面最も食糧需給の困難を予想せらるる消費大都市方面に対し、連合軍の好意に基く輸入コプラから搾油した食用油脂の臨時特配を行う。
一 特配数量
一人  二三〇グラム(約一・五合)(約二、一四〇カロリー)
一 特配実施期間
八月下旬から開始して九月三十日に終る。
一 特配実施地域
七大都市(福岡市を含む)及其の隣接地域
第四 塩の農繁期臨時特配
農繁期に当り生産農民の生理的要求に応へ、その再生産力確保の一助たらしめるため、相当量の塩の一般農家臨時特配を行う。
一 特配数量
平均一世帯当り  三キログラム
二 特配対象農家
全国食糧供出対象約五百万農家
三 特配実施期間
七月下旬から開始し八月三十一日に終る。
四 本措置は第一に依る救援米醵出国民運動の展開にあつての経済復興会議、農業復興会議からの要望に応へたものであるので塩配給機関は末端配給の実施にあたり特に両復興会議の選んだ第一の二の救援米集荷促進機関と連絡協議の上、第一の救援米醵出運動の進展と密接に結びつくように適当な措置を講ずる。