金融機関再建整備法中一部改正等法律案要綱

昭和23年5月26日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.920-921 当館請求記号:DG15-19

一、登記期限の延長
金融機関の新旧勘定の合併及び減資の登記の期限を、合併又は減資の時から本店においては九十日以内、支店においては百日以内に延長すること。
二、政府補償
(一)金融機関再建整備法による確定損の整理負担残額は経済再建整備委員会に諮問して政府においてこれを補償すること。
(二)右の補償は、最近の国債と同一条件のものを以てこれを行うことができるものとすること。
(三)金融機関再建整備法における補償金額の限度百億円は、これを百六十五億円に増加すること。
三、調整勘定
(一)新旧勘定の合併後において、整理債務を切った金融機関(同金融機関から事業の譲渡等を受けた金融機関を含む。)は、合併後新に調整勘定を設け、同勘定において、前に旧勘定に属した資産負債等から生ずる損益を経理せしめること。
(二)調整勘定に生ずる利益は債権者審査会の同意及び政府の認可を受け左記順序によりこれを分配その他処分せしめること。
(イ)政府補償金の返戻、但し、戦死保険金に相当する金額を除く。
(ロ)指定債務の債権者
(ハ)整理債務の債権者
(三)右により分配その他の処分をなし、なお、残額があるときは、これを当該金融機関の法定準備金に繰入れること。
(四)調整勘定の存する間は、前に旧勘定に属した有価証券その他の動産又は不動産を処分する場合には、債権者審査会の同意を得、旦つ政府の認可を受けなければならないこと。
(五)金融機関及びその役職員その他の従業員は、調整勘定に生ずる利益金の分配を受ける権利を譲り受け、又は分配することを理由として、切り捨てられた預金者等から手数料その他の報酬を収受してはならないこと。
(六)右各項の改正に伴い、必要な罰則を設けること。
四、その他
(一)金融機関経理応急措置法により行う金融機関に対する政府補償についても、金融機関再建整備法の補償に関する規定を準用すること。
(二)金融機関再建整備法の改正に伴い、大蔵省預金部等特別損失処理法につき所要の改正を加えること。
(三)金融機関の最終処理の完了等に伴い、封鎖預金及び封鎖支払制度を廃止するため金融緊急措置令につき所要の改正を行うこと。