電気事業の再編成および公益事業行政機構に関する件

昭和25年2月21日 閣議了解

収載資料:電気事業再編成史 電気事業再編成史刊行会 1952 pp.536-537 当館請求記号:540.921-D53d
一、電気事業再編成に関し
日本政府は電気事業再編成の要請に即応し、日本発送電会社及び九配電会社を解体し、これに代るに現在の配電区域を供給区域とする九箇の民有民営の電気事業会社を新設することが最も妥当であると考えている。
これらの電気事業会社はそれぞれ供給区域内の発送配電設備を保有することを原則とするが、発送配電一貫経営による責任体制を確立するため、現在の給電系統を尊重し、特定の発電所および送電線については例外として、その所在に拘らず帰属を決定すべきものとする。
日本政府がかくの如き分割案を採択した理由は左の如くである。
(一)分割後の各ブロック内の電力需給のバランスの悪化を最小限度に止め得ること。
(二)民有民営会社の発送電一貫経営の合理化、サービスの改善を図り得ること。
(三)水力発電所および火力発電所を不可分の一体として運営し得ること。
分割によつて生ずる最大の問題は、電力料金の地域差の拡大である。分割後において地域別原価をその儘料金に反映せしめるときは、九州、北海道、中国、四国においては、産業の存立および民生の安定に相当の悪影響をおよぼすものと予想せられるから、この際暫定的に全国の水力発電所に対し、特別の賦課金を課し、これを財源として調整措置を講ずることが不可欠であると信ずる。
二、公益事業行政機構に関し
わが国の公益事業行政、特に電力行政が産業行政と不可分の関係において運用せられている実情に鑑み、日本政府は行政部から独立した公益事業委員会の新設には賛成し得ない、日本政府としては電力およびガスに関する行政機構は概ね現状を維持し、別に公益事業審議会を通産大臣の諮問機関として設置し、重要政策を調査審議せしめることが最も今日の実情に即するものと信ずる。