昭和26年度予算の編成及び昭和25年度予算の補正等について

昭和25年6月7日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.102-103 当館請求記号:DG15-19

明年度予算は、本年第三・四半期に編成を完了すると共に、本年度予算の補正を行うが、右に際しては予算均衡の方針はこれを堅持することは勿論、左の諸点の実現に努力すると共に、緊急を要するものに付いては来るべき臨時国会に於いて、之が実現を図る。
一、
(イ)予算総額の削減
(ロ)既定経費を節約して財源を調達し、官吏給与ベースを改訂する。
(ハ)来年度予算に於いては、一般会計よりする債務償還は行わない。
(ニ)価格調整補給金は大幅に削減し、又は廃止する。
(ホ)右の結果生ずる財政余剰をもって、更に減税を行う。
二、輸出金融金庫の創設を考慮する。此の金庫は、外国及び外国貿易業者に対する長期円クレヂットの供与を為すと共に、国内輸出産業及び輸出業者に対する長期金融を行う。
三、わが国の輸出増進に至大な寄与をしている中小企業に対する貸付を増加する。
四、国際通貨基金、国際開発銀行及び国際小麦協定への参加については、現在なお種々の困難が伴っているにもかかわらず、従来から連合国最高司令官が好意ある仲介をしてこられたことは、感謝に堪えない次第である。わが国経済が一般の安定を加えた今日、更にこれが斡旋方を継続されるよう懇請したい。
五、先般不成立となった地方税法案については、政府は、中央よりの財政交付金を増額せずして、なお地方自治の本旨に従い、地方財政需要を賄うに足る地方税法案をシャウプ勧告の原則に基き、来るべき国会に提出する。
附加価値税は、明年度から実施することといたしたい。