呉地区国連軍引揚に伴う対策について

昭和31年4月24日 閣議了解

収載資料:防衛施設庁史 第2巻 各論編 第2部 防衛施設庁史編さん委員会編 防衛施設庁総務部総務課 1983 pp.278-279 当館請求記号:AZ-675-19

特需の減少及び駐留軍、国連軍の引揚に伴う対策については、昭和31年2月3日閣議了解をもって、その一般方針を決定したところであるが、呉地区国連軍の全面的引揚の事態は、本年中に集中的な大量の離職者の発生とともに尨大な接収国有財産の返還をもたらすものである。これらの事態に対処するため、左記により早急にその対策を具体化し、且つ、その実施に際し必要となる財政上その他の措置については、特段の考慮を払い、もって呉地区国連軍の引揚によって生ずる諸問題の解決を図るものとする。
なお、呉地区以外の地域において生ずる事態に対しても、その実情に応じ本大綱に準じて措置するものとする。

一 方針
呉地区に生ずる大量の失業者に対しては、国、関係地方公共団体等の協力のもとに、応急の救済措置に万全を期するとともに、同地区の産業の発展等によるその再就業の促進をはかり得るように努めるものとする。
二 措置
1 同地区に存在する国有財産は、呉地区の産業の育成に資するため、努めて有効に活用することとし,その際防衛庁その他関係諸機関が計画上必要とする範囲を考慮しつつ所要の調整を行うものとする。
2 一般企業への転用が適当と認められる国有財産の処分については、呉地区の産業の育成に資するよう処分の方法及び条件について、必要な措置を講ずるものとする。
3 呉地区国有財産の産業への活用については、関係各方面の参加を得て、適切な計画のもとに進めるとともに、その活用上当面必要とする立地条件整備のための道路、港湾施設等の各種建設事業は、離職者の吸収見込、事業費の調達方法等を考慮して計画し、企業の進出計画等を勘案しつつ施行するものとする。
4 国連軍の引揚に伴って生ずる離職者に対しては職業補導、職業紹介の措置強化によって一般産業への就業、他地域への移動をはかるとともに、朱業対策事業、その他各種建設事業の施行によって、その就労をはかるほか、離職者が組織する企業組合の育成策を講ずる等当面必要とする措置を講ずるものとする。