昭和33年度予算編成方針

昭和32年12月20日 閣議決定

収載資料:資料戦後二十年史 2 経済 有沢広巳・稲葉修三編 日本評論社 1966 pp.281-282 当館請求記号:210.76-Si569

昭和33年度予算は、さきに閣議の決定を経た「昭和33年度の経済目標と経済運営の基本的態度」に基き、投資及び消費を通じて、内需を抑制し輸出の伸長を期することを主眼とし、いやしくも財政が景気に対して刺激的要因となることを避けつつ、重点施策の推進をはかり、経済の安定的成長の基盤を培うことを基本として左記により編成する。

1.財政規模
(1)昭和33年度一般会計の歳入については、前年度予算額に対し租税収入の増加を1000億円余、税外収入の増加を100億円余、前年度剰余金の増加を810億円と予定する。
(2)昭和31年度剰余金のうち法定の財源に充当される分を除く436億円は、全額これを特定の資金として保留し、将来において経済基盤の育成強化のため必要となる経費の財源として活用する。
(3)昭和33年度一般会計の歳出は、前年度予算額に対し、前号の資金に充当する額及び国債費の増加額約310億円を除き1000億円以内の増加に止める。
(4)以上によって生じた余裕は減税に充当する。
2.重要経費の確保と既定経費の節約
(1)昭和33年度予算の編成に当っては輸出の振興、主要道路の整備、科学技術の振興並びに中小企業及び農業対策を最重点施策とする。
(2)最重点施策その他重要経費の計上を確保するため、物件費の単価切下げ、補助金の整理等を行って極力計上の経費を節減する。
3.税制の改正
相続税制度の合理化、貯蓄の奨励、産業及び科学技術の振興のための減税を中心として税制の改正を行う。
4.財政投融資
(1)財政投融資の規模はおおむね昭和32年度実行額の程度とする。
(2)財政資金の配分に当っては、民間資金の運用を適正化するとともに、電力その他産業基盤の整備、中小企業及び農林漁業金融等を中心とし、資金の効率的使用を徹底する。
(3)財政投融資の運用に当っては経済情勢の推移に応じ、弾力的に行うことを考慮する。
5.地方財政
地方財政についても、国の財政と同一の基調により、経費の膨脹を極力抑制するとともに、その合理化を推進する。