「行政に関するアジア・極東地域機関」への国家会員としての加盟について

昭和35年12月3日 閣議決定

収載資料:行政管理庁史 行政管理庁史編集委員会編 行政管理庁 1984.6 pp.1050-1051 当館請求記号:AZ-333-23

「行政に関するアジア・極東地域機関」に国家会員として加盟することを決定する。

説明書
(総理府・外務省・自治省)
「行政に関するアジア・極東地域機関」への国家会員としての加盟に関する閣議決定(案)に関する件
1 「行政に関するアジア・極東地域機関」(Eastern Regional Organization of Public Administration=EROPAと略称)は1958年6月フィリピンにおいて開催されたアジア地域行政会議によりその設立が決定された非政府機関であり、後記本機関規約案によれば、その目的、事業及び機構は、次のとおりである。
(1)目的
(イ)アジア・極東地域の経済社会開発計画を推進し、遂行するため、一層効果的で適切な行政制度及び行政運営の採用を促進すること。
(ロ)行政の価値と重要性についての認識を高めること。
(ハ)本地域における行政についての科学と技術を向上せしめること。
(ニ)管理能力、殊に上級及び中級管理者層の管理能力の向上をはかること。
(ホ)本地域における行政の専門化を促進すること。
(ヘ)広く一般に認められた国際行政諸団体に加入し、これらの団体との連絡をはかること。
(2)事業
(イ)国際会議または、地域会議の定期開催
(ロ)行政学の発達を促進するための研究書及び雑誌の刊行
(ハ)文書の配布及び交換
(ニ)行政の運営その他の科学に関する特殊の問題についての調査及び文書のための常設委員会の設置
(ホ)特定の問題についての研究セミナーまたは短期講習会の開設
(ヘ)専門的な訓練所の設置
(ト)行政関係の教授、学生及び専門家の交流
(3)機構
本機関は国家会員(State Member)、団体会員(Group Member)及び個人会員によって構成され、総会、執行理事会及び事務局を有する。
2 1958年6月、フィリピンにおいて開催されたアジア地域行政会議に参加した国は、オーストラリア、中華民国、インド、インドネシア、日本、韓国、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン及びヴィトナム共和国であり、現在までにオーストラリア、中華民国、フィリピン及びヴィトナム共和国が国家会員として加盟する旨宣言している。また、最近、タイ国が加盟の意向を明らかにした模様である。
3 わが国としては、対アジア外交推進、関係諸国における行政技術向上等に資すべしとの見地より、この際、本機関の国家会員として加盟することが適当であると認められる。なお、加盟後は、関係各省庁の緊密な連絡により、その事業遂行に適宜協力するものとする。
4 前記1958年のアジア地域行政会議において本機関の規約が採択された。この草案は種々の点においてなお、改善の余地があるが、今次総会において更に検討されることになっており、わが国としては、一応今次会議において加盟することとし、更に今後規約改善の努力を行う方針である。
5 1959年10月、香港において開催された行政に関するアジア・極東地域機関暫定執行理事会において、分担金に関し、国家会員については年額1,125米ドル、団体会員及び個人会員については、それぞれ年額25及び2.5米ドルとする案が採択された。従って、わが国が国家会員として加盟する場合、年額1,125米ドルの分担金を支払うこととなる。