日本-債務の調べ方

国債の分類等

広義では国の債務一般を国債といいますが、通常、国債という場合には、借入金等を除いたものを意味します。

発行の根拠法による国債の分類

建設国債(4条国債)
財政法外部サイト第4条第1項ただし書には、「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」と定められており、この規定に基づいて発行される国債です。
特例国債(赤字国債)
建設国債を除き、国債の発行は原則として法律により禁止されています(財政法第4条。建設国債の原則)。ただし、建設国債を発行してもなお歳入が不足すると見込まれる場合には、政府は公共事業費等以外の歳出に充てる財源を調達することを目的として、いわゆる特例公債法に基づいて国債を発行することができます。現在は、令和3年改正の財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律外部サイトにより、令和3年度から令和7年度までの5年間について特例公債の発行が可能になっています。
復興債
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法外部サイトに基づいて発行される国債です。
借換債
特別会計に関する法律外部サイト第46条第1項に基づいて、建設国債と特例国債の償還額の一部を借り換える資金を調達するために発行される国債です。発行のために国会の議決は必要ではありません。
財政投融資特別会計国債(財投債)
特別会計に関する法律外部サイト第63条第1項に基づいて、財政投融資の財源として発行される国債です。償還財源が租税ではないため、SNA等では政府債務には分類されません。
その他の国債
以上の他に、交付国債などがあります。

償還期間・利払いによる国債の分類

短期国債(6ヵ月・1年)
割引国債です。最低額面単位は5万円です。
中期国債(2年・5年)
利付国債です。最低額面単位は5万円です。
長期国債(10年)
利付国債です。最低額面単位は5万円です。
超長期国債(20年・30年・40年)
利付国債です。最低額面単位は5万円です。
物価連動国債(10年)
利付国債です。最低額面単位は10万円です。
変動利付国債(15年)
最低額面単位は10万円です。
個人向け国債(3年・5年・10年)
3年と5年のものは固定利付国債、10年のものは変動利付国債です。最低額面単位は1万円です。

国債の償還のしくみ

建設国債と特例国債の償還は国債整理基金特別会計外部サイトを介して行われます。建設国債と特例国債の償還については、借換債を含め、全体として60年で償還し終えるという、いわゆる60年償還ルールの考え方が採られています。償還財源には以下のものがあります。

一般会計からの償還財源
定率繰入(前年度期首国債総額の100分の1.6)
特別会計に関する法律第42条第2項(いわゆる60年償還ルール)に基づく繰入です。
剰余金繰入(一般会計における決算上の剰余金の2分の1以上)
財政法第6条第1項による繰入です。
予算繰入(必要に応じて予算で定める額)
特別会計に関する法律第42条第5項による繰入です。
借換債の発行
借換債は国債整理基金特別会計において発行され、発行収入金(公債金収入)は同特別会計に直接編入(直入)されます。
その他
政府保有株式の売却・資金運用収入・たばこ特別税があります。

国の一般会計予算における国債

新規発行する建設国債と特例国債については、予算書の「予算総則」において当年度中の新規発行限度額が示され、歳入の「公債金」に計上されます。借換債は含まれません。債務償還費と利払費は歳出の「国債費」に計上されます。また、政府予算案の閣議決定にあわせて、財務省が翌年度の「国債発行計画」を策定し、種類別の国債の発行予定額が示されます。

国債整理基金特別会計

国債整理基金特別会計は、国債他の借入金を一元的に管理するための特別会計です。以下の資料が参考になります。

国債整理基金特別会計外部サイト(財務省)

特別会計ガイドブック外部サイト(財務省)

国債以外の公的債務

上述の国債の他に、以下のような債務が含まれます。

政府短期証券(Financing Bills, FB)
財務省証券など、短期の資金繰りのために発行される債券です。大半を外国為替資金証券が占めます。
借入金
一般会計及び各特別会計は、一時的な資金繰りのため又は財源不足を補うために、財政投融資資金や民間から借り入れることがあります。
政府保証債務
独立行政法人等の債務を、国が保証するものです。
地方債
地方公共団体の債務です。
独立行政法人等の債務
独立行政法人は、国や民間から借り入れることがあります。
社会保障基金の債務
SNAの一般政府には社会保障基金が含まれます。

日本の債務等に関する情報源

※【 】内は当館請求記号

◆国の債務に関する情報

財務省のWebサイト
国債に関する主要な情報は財務省のWebサイト国債(国の発行する債券)外部サイトにまとめられています。
『債務管理リポート』【Z71-M590
国・公的債務の主要統計と管理政策の全体像を年度単位でまとめたものです。解説が比較的平易で充実しています。
財務省のWebサイト出版物等外部サイトでも参照できます。
国債発行計画
各年度の国債発行計画・政府保証債発行予定額等は財務省のWebサイト国債管理政策外部サイトで参照できます。
『国債統計年報』【Z41-500
国債を始め、国の債務全般の基礎的な統計を年度単位でまとめたものです。
財務省のWebサイト出版物等外部サイトでも参照できます。
国債及び借入金並びに政府保証債務残高
財政法第28条に基づき、財務省理財局が四半期ごとに作成する統計です。国の債務を総覧的に集計したものです。
財務省のWebサイト国債及び借入金並びに政府保証債務現在高外部サイトで参照できます。

◆国の財政・予算・決算全般と債務に関する情報

財務省のWebサイト
財政全般に関する主要な情報は財務省のWebサイト日本の財政を考える外部サイトにまとめられています。
『日本の財政関係資料』【Y111-M1689】など
財政に関する基本的な統計類をまとめた比較的平易な資料です。
財務省のWebサイトわが国の財政状況外部サイトでも参照できます。
財政統計
国の予算・決算等に関する統計です。
財務省のWebサイト財政統計(予算決算等データ)外部サイトで参照できます。
『図説日本の財政』【Z41-912
日本と諸外国の財政について、年度ごとに論点を整理するものです。
国の予算・決算
新規発行国債は、歳入の「公債金」の項目に計上されます。借換債は含まれません。国債償還費と利払費は歳出の「国債費」に計上されます。
『一般会計予算』【BZ-4-03など】で調べることができます。
各年度の国の予算は財務省のWebサイト予算・決算外部サイトでも参照できます。
『国の財務書類』
企業会計の手法を取り入れ年度ごとに国の財務状況を明らかにしたものです。「貸借対照表」「業務費用計算書」「資産・負債差額増減計算書」「区分別収支計算書」の四表と付属明細書から成ります。
財務省のWebサイト国の財務書類(省庁別、一般会計・特別会計、政策別コスト情報・個別事業のフルコスト情報)外部サイトで参照できます。

◆国の経済全般と債務に関する情報

『経済財政白書』【Z71-J67
日本の経済と財政について、内閣府が年度ごとに分析するものです。
内閣府のWebサイト白書等(経済財政白書、世界経済の潮流等)外部サイトでも参照できます。
資金循環統計
日本銀行調査統計局がSNAに基づいて四半期ごとに作成する統計です。政府に対する債権の保有者の業種別の統計も参照できます。
『金融統計経済月報』【Z71-N863】などに掲載されます。
日本銀行のWebサイト資金循環外部サイトでも参照できます。
国民経済計算(SNA: System of National Accounts)
内閣府経済社会総合研究所がまとめる、統計法に定める基幹統計です。国際比較のため、国際連合の定める基準に基づいて作成されています。SNAに定義される、いわゆる一般政府総債務が分かります。
『国民経済計算年報』【Z41-496】などで調べることができます。
内閣府のWebサイト国民経済計算(GDP統計)外部サイトでも参照できます。
OECDの資料
政府債務の国際比較で最もよく使われるのがOECDの資料です。代表的なものとして"OECD Economic Outlook"【Z61-A107】などがあります。(当館契約データベース"OECD iLibrary"等で閲覧できます)