中国の叢書

中国では、多くの大規模な叢書が長い歴史の中で編纂されてきました。近年も新たな叢書の編纂や古い叢書の複製版の刊行が進んでおり、図書館で利用できるものが多くなりました。ここでは、関西館アジア情報室が所蔵する主な中国漢籍の叢書とその検索方法をご紹介します。なお、『四庫全書』とその関連叢書については、「『四庫全書』と関連叢書の調べ方」をご参照ください。

なお、当館が所蔵する漢籍の叢書は、ここでご紹介するもののほか、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できるものもあります。また、中華民国期より以前に刊行された漢籍の叢書は、東京本館の古典籍資料室で所蔵しています。
 【 】内は当館請求記号です。

1. 叢書から漢籍を見つける

1-1. 叢書の中に隠れている漢籍の事例

現存すると言われる中国の漢籍約15万種のうち、5万種程度は何らかの叢書に収録されていると言われており、探している漢籍が叢書に収録されている場合があります。

  • ケース1 国立国会図書館サーチの「キーワード」で検索可 例 『崑山人物志』
    『崑山人物志』という漢籍を国立国会図書館サーチの「キーワード」で検索すると、『四庫全書存目叢書補編』【US1-C33】という叢書がヒットします。「詳細な書誌情報を表示」をクリックして注記欄を見ると、第93冊に収録されていることが分かります。
  • ケース2 叢書の検索ツールで見つける 例 『張子語錄』
    『張子語錄』という漢籍は、国立国会図書館サーチで検索してもヒットしません。しかし、2.叢書の検索ツールで紹介する全國漢籍データベース外部サイトを検索すると同書は当館(「国会」と表示されます)で所蔵しており、『四部叢刊続編』第316冊や『續古逸叢書』第27に収録されていることが分かります。この時点では、これらの叢書を東京本館と関西館のどちらで所蔵しているか不明なので国立国会図書館サーチで再度叢書名を検索します。すると、『四部叢刊続編』【082.2-Si2682-S】、『續古逸叢書』【082.1-Z342-K】とも関西館アジア情報室で所蔵していることが分かります。
  • ケース3 特定の叢書に含まれる漢籍を探したい 例 『清代地方人物传记丛刊』
    『津门征献诗』が『清代地方人物传记丛刊』【GK17-C199】という叢書に収録されていることが分かっている場合、その収録巻を特定する必要があります。しかし、『清代地方人物传记丛刊』の各巻収録書名は国立国会図書館サーチには収録されておらず、比較的新しい叢書であるため、全國漢籍データベース外部サイトでも探せません。そこで、同じく2.叢書の検索ツールで紹介するケンブリッジ大学のCong shu in Cambridge Libraries外部サイト(繁体字の書名であっても簡体字に直して検索する必要あり)を検索すると、『津门征献诗』が『清代地方人物传记丛刊』の第2冊に収録されていることが分かります。また、『清代地方人物传记丛刊』の末巻の索引巻を利用して、収録巻を調べることもできます。このように、叢書は多巻からなるため、収録叢書名だけ分かっていても様々なツールを用いて収録巻を特定しないと利用できません。

1-2. 叢書の調べ方のコツ

ひとくちに叢書といっても様々なタイトルがあり、検索ツールがそれぞれ異なるほか、書名から調べたいのか、特定の叢書に含まれる漢籍を調べたいのかでもアプローチが異なります。また、叢書には膨大な数の漢籍が収録されており、叢書名が分かっていても、どの巻に求める漢籍が収録されているか分からないと利用できません。調査の際には叢書に含まれる漢籍の調べ方チャート図[PDF File:135.2KB]を参考にしてください。それでも見つからない場合は、アジア情報室にお問い合わせください。

叢書の調べ方チャート

2. 叢書の検索ツール

叢書には様々な書籍が収録されていますが、国立国会図書館サーチでは個々の書名を検索できない場合や、書名を「注記」で確認するなど、探すのに工夫が必要なことがあります。以下、複数の叢書に収録される書名を横断検索できるツールをご紹介します。国立国会図書館サーチでお探しのタイトルが見つからない場合にお試しください。

  • 全國漢籍データベース外部サイト
    (京都大学人文科学研究所 附属東アジア人文情報学研究センター)
    国立国会図書館も含む、全国の主要な大学図書館・公共図書館が所蔵する漢籍の書誌情報を収録するデータベースです。書名、著者名、出版者、子目などの項目から検索できます。簡体字、繁体字、日本漢字いずれでも検索できます。該当タイトルが叢書に収録されている場合は、左上に叢書名が表示され、叢書名のリンクをたどると、該当する叢書に含まれる他の子目も表示されます。該当タイトルがさらに下位の子目を含む場合は下部にタイトルが表示されるので、同様にリンクをたどって詳細を表示できます。なお、検索結果で所蔵が「国会」と表示されるものは、当館の東京本館または関西館で所蔵しています。国立国会図書館サーチで検索してご確認ください。
  • Cong shu in Cambridge Libraries外部サイト(Cambridge University Library)
    ケンブリッジ大学図書館が所蔵する漢籍の叢書2,336種のうち2,300種に収録される書名を検索・閲覧できます(2020年1月時点)。なお、同じ叢書名でも、出版者や版が異なる場合は収録巻も異なりますので注意が必要です。また、資料上の表記に関わらず、記述は全て簡体字で、検索も簡体字で行う必要があります。
  • 『四庫全書』と関連叢書の検索ツール
    清代に編纂された一大叢書『四庫全書』とその関連叢書には、中国の重要漢籍の多くが収録されています。これらに収録されている漢籍については、「『四庫全書』と関連叢書の調べ方」をご参照ください。
  • 『中國叢書綜録』(上海圖書館編、上海古籍出版社 2007 【UP52-C32】)
    1982年刊の初刊版に叢書の編著者索引を追加して再版された叢書の総目録です。叢書2,797種の収録書名を検索できます。収録される叢書名は、Cong shu in Cambridge Libraries外部サイト《中国丛书综录》Title Index外部サイトで一覧できます。第1冊で叢書名や叢書の編著者、第2冊と第3冊で叢書に収録されているそれぞれの書名を検索できます。『四庫全書』をはじめ、『四部叢刊』『四部備要』『叢書集成初編』といった大型叢書も収録されています。ただし、『四庫全書』の関連叢書などの比較的新しい叢書類は収録されていません。
  • 『中國叢書綜録補正』(蒋孝達校訂、江苏广陵古籍刻印社 1984 【UP52-C20】)
    『中國叢書綜録續編』(施廷鏞編撰、北京圖書館出版社 2003 【UP52-C21】)
    『中國叢書綜録未收日藏書目稿』(李鋭清編、京都大学人文科学研究所附属东洋学文献センタ一 1995年 【UP52-C13】)
    上記3点は、『中國叢書綜録』未収録分を補うために刊行されたものです。
  • 『中國叢書廣録』(陽海清編撰、湖北人民出版社 1999 【UP52-C18】)
    上冊は、叢書名、編撰者、分類から検索できます。下冊は子目の書名、著者名、分類から検索できます。

3. 関西館で所蔵する主な叢書

関西館で所蔵する叢書のうち、主要なものと検索方法を紹介します。