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植物の学名について調べる

植物の学名は、国際植物命名規約にもとづき、「属名(generic name)」、「種小名(specific epithet)」をラテン語形で列記し、最後に「命名者」を付記する二命名法によって表記されます。この命名法は「分類学の父」と称される、カール・フォン・リンネ(1707-1778)によって体系づけられました。ラテン語表記を共通ルールとするため、全世界で植物の名前を共有することができます。ここでは、植物の学名について調べるための基本的なツールを紹介します。
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目次

1. 植物の学名の命名法について知るための参考図書
2. 植物の一般名から学名を調べるための参考図書
3. 学名に使用される言葉の意味を調べるための参考図書
4. 植物の学名を調べるためのインターネット上の情報源

 

1. 植物の学名の命名法について知るための参考図書

  • 『植物の名前のつけかた : 植物学名入門』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (L.H.ベイリー著 新装版 八坂書房 2000.10 【RA241-G28】)
    植物の命名規則と学名に必要なラテン語の基礎知識について、コンパクトにまとめられています。附表として属名一覧と種の形容語一覧が用意されているため、発音や学名に用いられる言葉の意味を調べる際に使うこともできます。

 

2. 植物の一般名から学名を調べるための参考図書

植物の一般名から学名を調べるためのツールとしては、植物図鑑の類も上げられますが、ここでは学名を調べることに重点を置いた辞典、便覧類などを紹介します。

 

  • 『植物目録 : 自然環境保全基礎調査. 1987』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (大蔵省印刷局 1988.3 【RA2-E8】)
    環境庁が、環境保護政策を推進するにあたって必要となる、標準となるべき種の目録として、環境保全法に基づく自然環境保全基礎調査から、植物名を整理して作成したものです。小笠原諸島および南西諸島も含めた、日本全体に生育する野生のシダ植物および種子植物の全種8,118種について、学名、和名を網羅的に対照できます。全体は「上;分類系順」、「中;学名ABC順」、「下;和名50音順」の3部で構成されています。国の機関が植物分類の専門家に依頼して作成した目録であるため、日本の植物については網羅的に収録されています。
  • 『日本植生便覧』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (改訂新版 至文堂 1994.10 【RA2-E67】)
    自生種はもとより、帰化植物や栽培植物まで含めて、現在日本で見ることのできる種を網羅する形で、種の植物社会学的な位置および生態学的な記載がまとめられた植物・植生便覧です。主眼は日本の植生を記述することに置かれていますが、後半部分に日本に自生する維管束植物(シダ植物以上の高等植物)について、和名50音順から学名、学名ABC順から和名がわかる日本植物種名辞典が収載されています。和名リストには、生活形・生育形、生育地、分布、栽培植物の利用目的、開花期などの説明が付されています。品種名から母種を調べるための索引も用意されています。
  • 『日本維管束植物目録 = An Enumeration of the Vascular Plants of Japan』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (北隆館 2012.4 【RA5-J113】)
    維管束植物(伝統的な分類では種子植物とシダ植物に相当する)を対象とした植物名のリストです。日本における自生植物、帰化(おもに人為的な手段により持ち込まれた外来植物が野生化すること)・逸出(栽培の目的で持ち込まれた外来植物が野生化すること。)植物、日本原産の可能性が高いが野生地の不明な栽培植物をAPG分類体系*にしたがって配列し、学名と標準的な和名を収録しています。また、日本の固有種および絶滅危惧種については環境省の基準に従った絶滅危惧植物カテゴリーを表記してあります。巻末に学名索引および和名索引が付いています。
    *APG分類体系は、欧米の系統分類学の研究者たちが中心となって結成した「被子植物系統研究グループ(Angiosperm Phylogeny Group;APGと略称)」によって1998年に公表されたもので、系統関係を反映した被子植物の分類体系です。
  • 『植物和名学名対照辞典. 1992年版』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (科学書院 1992.3 【RA2-E42】)
    現在、日本で自生あるいは栽培されている植物について、それらの和名・別名・英名・仏名・独名・漢名(漢字名)・学名を対照することができます。全体は和名(別名)50音順から英名等その他名称と学名を調べる第I部、英名等その他名称ABC順から和名を調べる第II部、学名ABC順から和名を調べる第III部から構成されています。日本国内の植物が網羅されていますが、植物自体の解説はありません。一般名から学名が簡便に調べられる辞典としての役割を果たすものと言えます。
  • 『有用植物和・英・学名便覧』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (北海道大学図書刊行会 2004.5 【RA2-H25】)
    新旧・国内外を問わず和名のある有用植物(生活に利用できる植物)2,446種について、和名3,946語、英名3,782語を収録したリストです。全体は和名50音順から学名・英名を調べる「和名の部」、学名ABC順から和名・英名を調べる「学名の部」、英名ABC順から和名・学名を調べる「英名の部」、そして「科名一覧」50音順・ABC順の4部から構成されており、和名、学名、英名を対照することができます。植物自体の解説は、用途が簡略に記されている以外にはほとんどありません。和名については、標準的なもののほか、別称・古称・外国語や方言由来の名前も加えられています。和名と学名を対にする関係で、有用とされる植物でも、広い意味で和名のない植物は取り上げられていません。また、花卉についても割愛されています。有用植物については、かなり細かく一般名から学名が調べられます。
  • 『日本中国植物名比較対照辞典』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (東方書店 1988.6 【RA2-E14】)
    日本と中国の両国に共通に存在する植物約2,000種について、学名ABC順から和名と中国名を対照することができます。巻末には和名および中国名索引もあります。全体は大きく分けて、「裸子植物」、「被子植物」、「シダ植物」の3部から構成され、和名は仮名書きだけでなく、漢字でも表記されています。特長としては、和名には薬効が、中国名には中国国内での分布が併記されています。
  • "CRC world dictionary of plant names : common names, scientific names, eponyms, synonyms, and etymology"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Umberto Quattrocchi CRC Press c2000 【RA2-A143】)
    22,500以上の属と200,000以上の種について、学名、一般名、同物異名、異物同名、通俗名などをカバーする、最も包括的な植物名辞典です。全体は4巻で構成されており、属名(属名の命名者+科名)、種名がABC順で配列され、世界各国で使用されている名前が併記される形となっています。和名もローマ字表記で記載されています。名前だけでなく、名前の命名者、起源や略称などについても解説が付されています。学名を調べるとともに、学名を通じて、世界各国での名称を知ることができます。
  • "Elsevier's dictionary of botany I.Plant Names : in English, French, German, Latin, and Russian"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Elsevier Scientific Pub. 1979- 【RA2-92】)
    6,000以上の植物の名前が、英語、仏語、独語、ラテン語(学名)、ロシア語で対照できる辞典です。収載対象となる植物は、草木類だけでなく、キノコや地衣類も含まれています。構成としては、英語名ABC順リストに他言語名が併記される形となっており、他言語名からは索引を経由して英語名リストを参照する形となっています。各国語の一般名称から学名を調べることができます。
  • "Elsevier's dictionary of plant names : in Latin, English, French, German, and Italian"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Elsevier 1996 【RA2-A113】)
    12,000以上の植物の名前が、ラテン語(学名)、英語、独語、仏語、伊語で対照できる辞典です。構成としては、学名ABC順リストに他言語名が併記される形となっており、他言語名からは索引を経由してラテン語(学名)リストを参照する形となっています。各国語の一般名称から学名を調べることができます。
  • "Elsevier's dictionary of wild and cultivated plants in Latin, English, French, Spanish, Italian, Dutch and German"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Elsevier c1989 【RA2-A80】)
    ヨーロッパで見られる野生種・栽培種の植物の名前約8,000種について、学名、英語名、仏語名、西語名、伊語名、蘭語名、独語名で対照できる辞典です。構成としては、学名ABC順リストに他言語名が併記される形となっており、他言語名からは索引を経由して学名リストを参照する形となっています。各国語の一般名称から学名を調べることができます。
  • "Elsevier's dictionary of trees and shrubs : in Latin, English, French, German, Italian"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Elsevier 1986 【RA2-A7】)
    世界の高木・低木類約2,300種について、学名、英語名、仏語名、独語名、伊語名で対照できる辞典です。構成としては、学名ABC順リストに他言語名が併記される形となっており、他言語名からは索引を経由してラテン語(学名)リストを参照する形となっています。植物の名前だけでなく、生育地や特徴(樹高や生活形・生育形など)についても記載があります。
  • "The cross name index to medicinal plants"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (Anthony R. Torkelson CRC Press c1996-c1999 【SD2-A35】)
    約30,000の薬用植物の一般名と学名が対照できるリストです。全体は4巻で構成され、第1巻・2巻は植物の一般名ABC順に、対応する学名(属名+種小名)が併記される形となっています。第3巻では学名(属名、種小名)ABC順に、対応する一般名が一覧表示される形となっています。第3巻には属名に科、門(綱)、目も記されています。第4巻では1〜3巻で取り上げられなかった、インドの伝統医学アーユルヴェーダで用いられる薬用植物1,935種について、12,600の一般名が収録され、1〜3巻と同じ構成でまとめられています。

 

3. 学名に使用される言葉の意味を調べるための参考図書

学名に使用される言葉の意味を調べるための参考図書をご紹介します。

  • 『植物学名大辞典』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (植物学名大辞典刊行会 1995.4 【RA2-G8】)
    多肉植物(含サボテン)や園芸植物約25,000種について、その属名、種小名約3,300種の意味や由来が、ABC順にまとめられています。学名のつけ方、読み方についての解説も付されています。属名、種小名に用いられる言葉の意味を、1冊で調べることができます。
  • 『植物学ラテン語辞典』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (ぎょうせい 2009.9 【RA2-J51】)
    植物学用語のためのラテン語辞典です。ラテン語から日本語(英語)の意味、日本語から対応するラテン語がわかるようになっています。特に名詞・形容詞の語尾変化やラテン語文法について詳しく記載されています。
  • "A manual of plant names"国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (C. Chicheley Plowden Allen & Unwin 1968 【RA2-25】)
    植物の名前に関すること全般についての辞典です。植物の命名法から始まり、属名辞典、種小名辞典、一般名と学名の対照リスト、植物学用語辞典、植物の分類体系の解説などが収載されています。属名、種小名に用いられる言葉の意味を簡単に調べられるようになっています。

 

4. 植物の学名を調べるためのインターネット上の情報源

植物の学名が調べられるインターネット上の情報源としては、インターネット植物図鑑などもたくさんありますが、ここでは植物の絵や写真よりも植物の情報そのものに重点が置かれているサイトに的を絞って紹介します。

・植物の学名から学名および植物に関する情報が検索できるウェブサイト

  • The International Plant Names Index外部サイトへのリンク (The Royal Botanic Gardens, Kew, The Harvard University Herbaria, the Australian National Herbarium) (http://www.ipni.org/)
    The International Plant Names Index(IPNI)はすべての種子植物とシダ類に関する名前と基本文献のデータベースです。正確な学名を確認したいとき、学名の命名者や初出文献をさがしたいときに使うことができます。
  • International Organization for Plant Information Global Plant Checklist外部サイトへのリンク (http://bgbm3.bgbm.fu-berlin.de/iopi/gpc/default.asp)
    International Organization for Plant Information(IOPI)は地球の生物多様性を維持することを目的に、各種の国際的な協力プロジェクトを運営管理している組織です。「Global Plant Checklist Project」はそうした取り組みのひとつで、植物分類情報に関する各国のデータベースからデータを得て、一括して検索することのできるシステム構築を目指しています。現在公開されているプロトタイプシステムでは、135,491の潜在的分類群に属している201,397の植物名を、学名で検索することができます。

・植物の一般名から学名が検索できるウェブサイト

  • 植物和名―学名インデックス YList外部サイトへのリンク (琉球大学熱帯生物学研究センター西表研究施設) (http://ylist.info/)
    植物名、特に日本産植物の和名と学名に関する詳細情報を整理するために作成された植物名データベースです。科名、種名、別名等で検索可能で、日本に自生、帰化しているすべての維管束植物とおもな栽培品種について、和名と学名、引用されている主要植物誌(掲載ページ)、科名が調べられるようになっています。いくつかの和名を指定して、学名リストを作成することも可能です。
  • Plants Database外部サイトへのリンク (United States Department of Agriculture) (http://plants.usda.gov/)
    アメリカ合衆国農務省(United States Department of Agriculture:USDA)が公開する植物データベースです。このデータベースでは、アメリカ国内で見られる維管束植物、苔類について、名前、収録チェックリスト、流通データ、種の概要、特徴、収穫情報、分布、文献情報やウェブ情報などが、標準化された形で提供されています。この情報はおもにアメリカ国内の環境保全のために用いられることが想定されていますが、学術的、教育的使用も奨励されています。植物名による検索は、一般名、学名などで行うことができます。
  • SysTax - a Database System for Systematics and Taxonomy外部サイトへのリンク (University of Ulm) (http://www.biologie.uni-ulm.de/systax/)
    おもにドイツの植物園にある140,000件近い植物標本のデータベースです。属名と種小名、一般名で検索することが可能です。検索結果には学名だけでなく、他言語での名称も併記されており、関連する文献情報やウェブ情報なども得ることができます。

・植物の学名がブラウジングで探せるウェブサイト

  • 東京都立大学牧野標本館所蔵 タイプ標本データベース(CD-ROM版)外部サイトへのリンク (http://ameba.i.hosei.ac.jp/BIDP/MakinoCD/makino/html_j/index0.html)
    東京都立大学牧野標本館の標本データベースに収録されているデータを基に、タイプ標本記載データ743点とその画像1962枚をCD-ROM版として、新たにレイアウトしなおしたものです。科名索引、和名索引、学名索引から、植物名を一覧表示させて探すことができます。こちらも当初の学名と現在の学名が併記されていますので、歴史的データを探す際に役に立ちます。
  • Searchable World Wide Web Multilingual Multiscript Plant Name Database外部サイトへのリンク (Michel H. Porcher and friends with the cooperation of The University of Melbourne) (http://www.plantnames.unimelb.edu.au/Sorting/Frontpage.html)
    メルボルン大学の有志で運営する植物名データベースです。世界各国の植物名について、学名をキーに多言語名称を多言語表記で対照できるようになっています。属ごとにとりまとめられた学名一覧から、ABC順に並んだ学名を選び、各国語表記を確認できる形となっています。和名の場合、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字で表記されています。欧州各国語はもちろんのこと、中国語や東南アジア各国語、アラビア語まで、60か国語以上での植物名を、そのままの表記で見ることができます。飼料作物、雑草、果物、穀物、ハーブ、マメ科作物、野菜、その他有用植物についても、同様に多言語表記を確認することができます。ただ、竹類、ヤシ類、キノコ、薬用植物については、各国語ごとに植物名がとりまとめられる形となっているため、直接、多言語での表記を対照することはできません。

 

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